黒衣の貴婦人 -魔王の影-

くれない

2008年08月14日 21:05


 ナレーション 「それでは、時間を現在に戻しまして・・・リアルタイムで進行を追っていきましょう。

 今回の舞台は、例の小紅たちが捕らえられていた部屋から始まります・・・


 ひとり椅子に腰掛けて、満足そうに座っているアイリスの姿がそこにありました。
 ざっと周りを見渡してみても、同じこの部屋内には、小紅ちょびママさんの姿は、
 見ることが出来ないようです。

 すでに、どこか別の場所に移動させられたのでしょうか。。。それとも、もしや・・・ (謎)」


見た目にも固そうで、あまり座り心地もよくないと思われる椅子であるが・・・
アイリスは別段、気にすることもなくゆったりを身体を預けていた。

前回から数時間以上が経過していると推測されます・・・

あのあと、ここで何があったのかは、いまの段階で知ることができませんが、
あまり想像したくない事が起きたということだけは、間違いないようです。。。




アイリスは誰に言うでもなく、まるで自分自身に語りかけるかのように、満足気に話していた。
・・・あとは、長年待ち続けた愛しのむらさきがやってくるのを、待つばかりというところであろう。

 アイリス 「・・・小紅、まだ聞こえているかしら。。。もう間もなく私のむらさきがここにくるの・・・

 私だけに会いに来てくれるのよ・・・。」

  
この間、ゴゴゴ・・・っと聞こえていた振動もいまは全くなく・・・とても静かな時間が流れていた。
どうやらすでに、目的地に到着しているのであろう・・・


さて、この奇怪な部屋がどこにあるのかと言うと。。。

ぐぐぐっと、ズームアウトしてみれば・・・それは巨大な帆船であった。
いわゆる海賊船として恐れられていた、セント・ライラ号。。。
またの名を、「黒衣の貴婦人」とも呼ばれていた大航海時代の遺物である・・・




当時、人々を恐怖のどん底に陥れていたこのセント・ライラ号であったが、その最期をみたものはなく、
ある日突然、歴史の表舞台から姿を消したと伝えられている・・・

仲間割れが原因だの、皆殺しにあって焼失しただの言われていたが、その真相も歴史の闇に埋没していた。


では何故ここにそのセント・ライラ号があるのだろうか・・・
それは、この帆船そのものが封印に使われているからである。。。

封印
に使われているもので有名なのは棺(ひつぎ)であるが・・・それに限った事ではないのは、
みなさんもご存知ですね。。。 

例えば、この間・・・くれないが送り込まれた不気味な古城。。。あの要塞教会全部も封印によって、
閉じられた空間の中に存在するのです。


誰が何の目的で、このセント・ライラ号に、いったい何を封印したのだろうか・・・
それを知っているものは、いまはもうアイリスしかいないのであるが。。。

彼女は、手に入れた能力を駆使し、あらゆる可能性を探り、自慢のデータを照合した結果、
その秘密を見事に暴き、いまにも封印を解除して、さらなる己の力にしようと企んでいるのだった。



舞台は変わりまして、ここはむらさきが目指していた聖地の地下深くの空洞・・・
神秘的な空間に、ひとり佇むむらさきの姿がそこにあった。

その透き通った目は、何も見逃すまいという強固な意志の元、辺りを隈なく見据えていた。
超強力な結界が、むらさきの行く手を阻んだが・・・
ようやく、その巧妙に隠されていた封印への入り口を見つけ出すことが出来た・・・




この場所は、いまではむらさきが持つ・・・魔王封印を発掘した現場でもある。。。
あの当時には、これほどまでの結界など感じることもなかったのだが・・・

もし、当時にもこのような結界があったとしたら・・・むらさき率いる研究チームは、
すぐ目の前にある封印を手にすることもなく、全滅していたかもしれない・・・

 むらさき 「・・・これで、行くことが出来る。。。待っていてくれ!」


新たに決意を固めるかのように、ギロリとその場所を睨みつけ・・・
むらさきは一見何もない空間目掛けて、渾身の力を振り絞るように力強く気合一撃、飛び立った。

 むらさき 「・・・ムンッ!! 」 


パリンッ!・・・と空間が割れたような音がしたその刹那、むらさきの身体は吸い込まれるように、
先ほどの地下空洞から姿を消した・・・

 


歪む空間をくぐり抜け、むらさきの目に飛び込んできたのは、黒衣の貴婦人こと、セント・ライラ号であった。

 むらさき 「・・・みつけた!・・・なんと、あれ全体が封印の棺となっているのか・・・」

 
むらさき魔王としての能力は、いまの時点でのアイリスよりはまだ上であるようだ・・・
いっきに空間を結びつけ、目指す目的地にまっすぐ来れた事は賞賛に値するだろう。

だが、こうしてる間にも、小紅の生贄の儀式には、もう手遅れになっているのかもしれないのだ・・・


あの封印が解除され、アイリスのものとなったあとでは・・・たとえ闇の貴公子魔王といえども、
片手でひねり潰されてしまう可能性が大きい・・・それほどまでに、あそこに封印されているものの力は、
超絶なのである。




逸る気持ちの中、フルスピードで目の前にある、セント・ライラ号を目指し飛んでいるのだが、
いまのむらさきにはその速さを出していてさえ、まるでスローモーションのように感じ・・・
とても、もどかしい思いでいっぱいであった。。。

 むらさき 「・・・くっ、すぐそこにあるというのに !?」 


それもそのはず、この黒衣の貴婦人の周りの結界こそアイリスによって取り除かれてはいたが・・・
この空間自体が独自に持つ、歪んだ重圧・・・例えるならば、身体には何Gもの抵抗があり、
常人では普通に歩くことさえ・・・いや立っていることさえもできなかったであろう。。。


幸いにも、セント・ライラ号までは特に何も問題もなく、むらさきが近づくのに他の障害はなかったが、
目に見えている距離感と全く違い、実際にはかなり時間を要してしまった・・・

やっとのことで、辿り着いた時には・・・想像していたとはいえ、かなり力を消耗していたのである。




シーンと静まり返った甲板の上に、ひとり降り立ったむらさき・・・

 むらさき 「・・・いる、ここにいるんだなアイリス、そして、小紅よ」


降り立ってみればいっそう、このセント・ライラ号からとてつもないプレッシャーが、
訪問者むらさきを包み込んでいた・・・そう、彼は招かれざる客なのだ。。。

アイリスとは違い、己の復活を阻止するべくやってきたむらさきは、この黒衣の貴婦人にとって、
排除すべき邪魔者でしかないのだ・・・


それとは裏腹に、虹のイリスこと・・・アイリスはこの再会の瞬間(とき)をいまや遅しと待ちかねていた・・・

 アイリス 「・・・きたわ、あの人が。。。私に会いに来てくれた。

 これからやっと会えるのね・・・

 ぎゅっと抱きしめてくれるかしら・・・

 よくやったな、アイリス。。。と褒めてくれるかしら・・・ 

 私の、私だけのむらさき・・・」




自分自身を愛しく抱きしめるようにしてそう呟き、歓喜に震えるアイリスの瞳はもう潤んでいた。
いまや彼女の気持ちは抑えきれないまでになり、最高潮に達しようとしていた・・・


永年、夢にまで見た、自分の想い人・・・
むらさきがもう、すぐ近くに来ているのを全身で感じとっているので、それも無理はなっただろう。



次回、満を持して・・・むらさきアイリスがこのセント・ライラ号において直接対面する。

一方、小紅ちょびママさんは、どうなったのだろうか・・・

まだ完全には封印が解かれてないようなので、小紅の生贄の儀式が完了しているとは思えない。。。
しかし、アイリスは準備が整ったと言っていたのでそう安直に喜ぶことはできないだろう・・・

もう一人、ちょびママさんの安否も気にかかる・・・彼女はアイリスの手によって、
ひどい拷問を受けたかもしれないのだ。。。


どちらにせよ、それは次回には判明されることであろう・・・もうしばし、お待ちいただきたい。


                                                           ・・・つづく。





 ナレーション 「な、なんですとーーーっ!・・・ちっとも話が進んでないじゃないか~っ !?

 ・・・というお叱りもあろうかと、皆さんを代表して先に言っておきました ^^;
 
 しかしながら・・・つ、ついに。。。むらさきアイリスがもう間もなく会いまみえる瞬間が、
 訪れようとしております・・・

 
 またまた、さらなる真相がわかってくるのではないでしょうか・・・ (謎)
 
 この感じでいくと、どうやら我らが主人公、くれないくんは・・・まことに遺憾でありますが、
 もし、試練に打ち勝って・・・ヴァンパイアの特殊能力を手に入れたとしても~。。。
 実際は、間に合わないのかもしれなくなりました・・・。

 
 けれども・・・皆様の熱い応援があれば、それをも乗り越えてなんとかしてくれる!! ! ・・・かもです w」



 ナレーション 「さてさて、もうひとつ興味深い情報をお知らせしましょう・・・♪

 実は、さっきの帆船・・・黒衣の貴婦人こと、セント・ライラ号のマストの先端部にある見張り台に、  
 とある見知った人物がいたのがわかりましたでしょうか・・・

 先ほどの帆船の全体の写真では、とても小さくて、どこかに人がいるのかなんて・・・
 判別できたものではないですが、ここにその拡大したものをお見せしますね。。。 




そう・・・その人物とは、鳴り物入りで登場したにも関わらず、あまりたいした活躍もしていなかった、
イケメン獣医のボルドくんです。。。

彼は、いったい何者なのでしょうか・・・アイリスの協力者という線は考えられません。
プライドの高い彼女が、他人にものを頼むとも思えませんし、

では逆に、配下の者として扱われるようなボルドくんでもないでしょう・・・


みた感じ、アイリスにも・・・また、むらさきにもその存在を感知させずに、あの場所にいるようですし、
あの空間に存在できていることだけでも、ボルドくんの底知れぬパワーをうかがい知る証明になります。

・・・この件に関しては、どうやら傍観者としての立場をとっているようにも思えますね。。。


ただ間違いなく言えることは、彼もまたおおいに封印に関係しているということでしょう・・・


それでは、今回もこの辺で失礼させてもらいます。。。再見 ^^;」  ←もうネタ尽きてるっぽいな (謎) 
魔王編