くれない
2009年06月09日
22:01
・・・その時、部下のBeeたちを各地に送り出した麗華さまは実は苦悩していた。
ブツブツと独り言をいいながら、ひとり百面相をくり返す姿は異様でもある。
麗華 「でも、始まったものは今さら仕方ないわ・・・もう後戻りはできないのだから。」
※ バレンシュタインの浮遊要塞内部であろうか・・・不可思議な行動をみせる悩める麗華さまである。
モザイク・グラスまで迎えに来てくれた1号に、無理やり小紅を預け・・・くれないはとある場所に急いだ。
「まだひとりでは危険よ」・・・という、小紅の忠告にも耳を貸さないようにして、
いまだ詳細のわからないマリエくんの元へと向ったのだった。
マリエくんのミュージアムそのものは、まったく無傷の無事であるという連絡は知っている。
しかし、マリエくん自身がどうなったのかは・・・まだわかっていないのだ。
くれない 「あの伯爵がついているのだから、特に問題はないと思うんだが・・・。」
・・・そうは思っている、けれども、・・・この目で確認しておきたかったのだろう。
それから間もなくして、ニセコにあるマリエくんのミュージアムに到着したのだが・・・。
いつもなら、彼女が休憩したり “ 寝落ち ” したりしてる定位置付近に、
まったく別の見知らぬ女性がひっそりと鎮座してるではないか。
・・・不審に思い、用心しながらゆっくりと近づいてみた。
※ 報告のとおり、ミュージアムは何の損傷も受けておらず、流石は “ 伯爵 ” ・・・やはり只者ではない。
くれない 「おい、・・・まだ危険な状況のままだぞ、キミはマリエくんの知り合いなのか?」
しかし、そのくれないの誰何に女性からの返答はなかった。
くれない 「聞こえているはずだろ・・・返事くらいしたらどうなんだ?」
Bee 「・・・くっくっくっ、なんだあたしに言ってたのかい。。。また新手なナンパかと思ってたわ。」
くれない 「・・・何をふざけているんだ、いまはそんな場合じゃないだろ!」
Bee 「ふっ・・・ナンパに失敗しての逆ギレってやつかい 、困った坊やだね~っ ^^; 」
くれない 「・・・何を!」
Bee 「せっかちな男は嫌われるだけだよ・・・はいはい、それじゃ、任務にうつるとするかねぇ~ ♪
・・・全ては、マダム・マルゴのために!! 」
すっくと立ち上がり、不気味に微笑みながら・・・くれないに近づいてくる妖しい女性。
※ そう言い放つと瞬時にしてマダム親衛隊の正式な衣装を身にまとい・・・Beeは戦闘態勢をとったのだ!
※ けれども次の瞬間には、くるりと背中を向けて・・・声高らかに怒鳴ったりなどする始末で。。。 (謎)
Bee 「あはははっ、そういやオマエ吸血鬼だったね~これはたっぷりといたぶってやれるじゃないか!」
くれない 「・・・なんだコイツは、これがマダム親衛隊なのか?・・・どこが選抜エリートなんだよ!」
くれないがそう疑問に思うのも無理はなかった・・・。
マダム・マルゴの正規軍各部署から選りすぐりのエリート女性たちが志願して、
あの麗華さま率いる親衛隊の隊員に抜擢されるのだが・・・
その難関のテストに見事合格したものは、さらに最終試験としてマルゴに真の忠誠を誓い、
己の人格も見た目も等しく改造されるのである・・・そうそれがマダム親衛隊隊員のBeeたちなのだ!!
その結果、手に入れた脅威のパワーと裏腹に・・・情緒不安定に陥ったりする者もいるが、
すべからくマダムのための働き蜂と化し、強靭な意志を持つ戦闘員・・・ “ Bee ” となってしまうのだ。
・・・ 「ブンブンと騒々しく・・・、安らかな刹那の眠りを・・・、妨げるものは・・・、うぬか、そこな女よ・・・!」
※ 声のする方に悠然と立っていたのは、紛れもなく・・・あの闇の帝王、 “ 伯爵 ” その人であった!!
伯爵 「先ほどの爆撃といい・・・、我れはいま機嫌がよくないのだ・・・、如何にアレの手のものであれ・・・、
我が領土内にての・・・、愚かな争いごと・・・、黙って見過ごすわけには・・・、いかぬぞ・・・・。」
くれない 「おぉ~、お師匠さま・・・やはりご無事でしたか w 」
Bee 「うげげ・・・!貴方様は我らが美しき女王である・・・マダム・マルゴ様の。。。っぐ !?」
しかし、Beeが全てを言い終える前に、伯爵の気が凄まじく膨れ上がり、
・・・それ以上は、何も言えなくしてしまったのである。
くれない 「・・・ん?なんだって伯爵とマルゴが何・・・だと言おうとしたんだ?」
伯爵 「戯言である・・・、滅するがよい・・・。」
くれないのそんな言葉などまるで聞こえぬかの様に、伯爵はさらに気を高め・・・力を解放していった。
※ その凄まじさに大地が揺れ・・・何もかもが吹っ飛んでしまうのではないかと錯覚を覚えたくらいである。
※ 為す術もなく、巨大な力に飲み込まれるかの如く・・・Beeの身体は跡形もなく消し飛んだのだった。
Bee 「・・・うぎゃーーーーーーっ!! ! !! ! 」
何の抵抗も一切できぬまま・・・ただ断末魔の叫びを残して、親衛隊隊員Beeは哀れ消滅してしまった。
くれないが感じたBeeの底知れぬ力は、それなりに凄いものであったし、
いまのくれないの軍団のメンバーたちでは、一騎打ちをしたら下手をすると相打ちか玉砕であろう。
くれない 「・・・やっぱり、お師匠さまの潜在能力は。。。計り知れないってことか。」
伯爵 「案ずるな・・・、マリエなら・・・、我れがちゃんと預かっておる・・・、心配などは無用じゃ・・・。」
くれない 「おぉ、ありがとうございます。。。いや~、それが聞ければ問題ありません・・・安心しました。」
伯爵 「うむ、おぬしは・・・、早々に戻り・・・、小紅たちと・・・、次の対策でも・・・、じっくり練るがよい・・・。」
そういう風に、師匠でもある伯爵に促されては・・・さすがのくれないも何も言い返せず、
ふっと現れたとき同様・・・いつの間にか姿が見えなくなっていた伯爵がいた辺りを、
・・・ただただ立ちすくみ、茫然とみつめていたのだった。
※ 「うおおおぉぉぉぐおおおおおぉーーーーーーーっ!! ! 」・・・突然、大声で絶叫する麗華さま。
マダムより預かる大事な部下であるBeeの悲惨な最期を感知したのであろうか。
・・・麗華さまは、誰はばかることなく。。。声を荒げて叫び出したのだ。
麗華 「うぐぐっ、ついに伯爵さまが・・・旦那さまが~マルゴさまと争う姿勢をお見せになられたっ!!
もうだめだわ・・・もう止められない、この麗華の力などでは・・・どうにもならないのよーっ!! ! 」
その半ば雄叫びにも似た麗華さまの叫び声は・・・ただ無情に響いて要塞内にこだましていった。
・・・つづく。
ナレーション 「・・・つまり、 “ Bee ” というのは、ある個体を指すのではなく、
マダムの親衛隊正規隊員、全てを指す呼称であったのですね・・・。
・・・だとすると、いま親衛隊にいるサフランやアイリス・・・また、ちょびママさんもいずれは !?
もしかすると、もう手遅れになっているのかもしれないですけど。。。 (謎)
それでは、どちらさまも・・・また近いうちに、ここでお会い致しましょう。」
※ ほんの少し垣間見えたマダム軍の不気味な力に・・・思わずぞっと背筋が寒くなったくれないである。