ソラマメブログ
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2009年03月22日

憂う伯爵

これは、前回の番外編である「麗しき伯爵夫人」の続編になります・・・引き続きお読みください。


・・・晴れて “永遠の愛  ” を誓い合った伯爵とその見目麗しい夫人マルゴ
それからというもの、ふたりは永い時間を共に過ごすことになる・・・。

しかし、吸血鬼である伯爵なのであるが、どうしても実行できないことがあったのだ。


憂う伯爵

 ※ 現在進行中のシリーズにおいて、己の強力な封印に閉じ篭り・・・ただ一人永遠の時を生きる伯爵


これまでの物語にも、幾度となく登場してきているが、
この伯爵という人物は、相当ハイ・クラスの実力の持ち主であるのに、
・・・現状をただ傍観しているというのが基本的スタイルである。


ただの気まぐれからか、また戯れであったのか・・・くれないに試練を与え、
結果的に、その非凡な力であるヴァンパイアとしての能力を授けることになった。


そんな彼自身は、生まれながらにしてを統べる一族の長。

・・・アンデッドの王不死の支配者であるヴァンパイアの中のヴァンパイアだ。


その出自は、無論まだ明らかになっていないが、
有史以前から存在し、この地球の歴史と共にいるのかもしれない。


永い永い悠久の時を孤独に刻んできた彼であったが、
ついに巡りあえた美しい女性、マルゴをめとり・・・我が伴侶として迎え入れたのだ。


憂う伯爵

 ※ 見事、伯爵の心を射止めただけはあり、言葉に出来ないほどの眩いオーラをかもしだす愛妻マルゴ


当然のことながら、伯爵は歳など一切取らず、また死ぬこともない。

食事としての吸血行為さえも・・・伯爵ほどの高貴な存在にはほとんど不要であった。


また相手にふれることすらなく、その “ エナジー ” だけを吸いとるという手段さえ持ち合わせていた。

その場合、吸われた相手はそのまま気づくことなく、その生涯にまったく影響もでない。


・・・もちろん、必要とあらば下僕にしてしまうことは簡単であったが、
下等で悪質な吸血鬼どものように、悪戯に命を弄ぶようなことは決してなかった。


伯爵は、いくつかの離れた国に拠点となる城を構えており、
不定期的に、それらの地域を巡回しながら永い年月を秘密裏に暮らしてきた・・・


そう、あまりひとつところに永く留まっていると、周りから不審がられてしまうからだ。

“ いつまで経っても歳をとらない化け物伯爵さま! ” というような噂が、領民より立つのを防ぐ為もある。


だが、マルゴと過ごすようになってからは、そんな伯爵の孤独な旅も終わりを迎え、
楽しく暮らす夢のような日々が続いたのだが・・・そこにもやはり問題はあった。


自分のあるべき本当の姿は吸血鬼だと告白はしてあるのだが、
妻であるマルゴをその仲間として、迎え入れる儀式をまだ終えてなかったのだ。


憂う伯爵

 ※ 伯爵は毎日のように、マルゴの白いうなじに牙をたて、その生き血を啜るという衝動に駆られていた。


このままでは、美しい妻・・・マルゴだけが先に年老いて、
やがて死んでしまう。。。またもや伯爵は深く想い悩んでいたのだ・・・ !?


そのような状況が続いたある日、聡明なマルゴから夫である伯爵にこう話しかけた。


 マルゴ 「あなた、みずくさいですわ・・・あたくしでしたら覚悟はできていましてよ。

 いつなりと、あなたの思うようにしてくださってよろしいのに・・・。」


 伯爵 「しかし、マルゴ・・・それがどういう意味だかわかっているのか・・・君は。」


 マルゴ 「もちろん何も怖くないとはいえませんが・・・

 あたくしたちは “ 永遠の愛 ” を誓った仲ですもの。。。どこまでもふたり一緒ですわ。」   


 伯爵 「あぁ・・・マルゴ。」 


こうして妻のありがたい申し出により、儀式の準備はすべて整っていた・・・

あとは伯爵がそれを受け入れ、行動に起こすだけなのである。


しかしながら、伯爵はどうしてもそれができないのである・・・
この美しい妻の首に牙を立て、その血を啜り貪るという気持ちにはいっこうになれなかった。


いや、何故かわからないが、内なる己の本能が頑なにその行為を “ 拒絶 ” しているのである。


憂う伯爵

 ※ 結局、ヴァンパイアの仲間入りをせぬまま数百年の時が過ぎたが、相変わらず美しいままのマルゴ


本能ともいえる誘惑の衝動に駆られながらも、
伯爵の強い躊躇いもあり・・・・マルゴ吸血鬼と化すことはなかった。


しかし、拍子抜けの結果とでもいうのか、
驚くべきことに “ 奇跡 ” なるものが起きていたのである・・・

この数百年間、マルゴが歳を取るということはなく、ずっと若く美しいままだったのだ。


これは単に環境がなせる業ではすまされない現象であろう。


・・・結婚間もない頃、マルゴ自身がそう語ったように、
彼女もまた、普通の人間を遥かに凌駕した寿命の持ち主であったのだ!!


けれども・・・このことについては、伯爵にとってほんの些細な事に過ぎず、
まして問題などではなく、むしろ逆に喜ばしい事柄であったと言えるだろう。


実は・・・もっと別に、とても気になることがあるというのだ。


 伯爵マルゴ、正直に話してほしいことがある・・・包み隠さず教えてもらえるか?」


 マルゴ 「えぇ、あなた・・・何なりとお聞きくださいませ。」


                                                  ・・・つづく。 


憂う伯爵

 ※ 伯爵の中でいつしか拭いきれないほど巨大になった愛する妻、マルゴへの疑いの念・・・その内容は?


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