ソラマメブログ
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2008年08月17日

鎮魂曲 ≪Requiem≫ -闇と光の邂逅-

 ナレーション 「つ、ついに・・・! むらさきアイリスが5年ぶりに再会をする瞬間(とき)が来ました。
 この二人が接触することにより、物語の歯車はこれからどう噛み合っていくのでしょうか・・・

 それでは、さっそく・・・ご覧頂きましょう~。。。レディィィィィィィィィィィ・・・ゴォォォォォォォオ!! !!! ! 」


ピーンと空気が張りつめている甲板の上をひとり歩いて、帆船の中央あたりまで移動したむらさき・・・

黒衣の貴婦人の名に相応しく、その外観はもちろんのこと・・・内部の調度品ひとつひとつに至るまで、
一流の匠の技が施されている・・・

これほどまでに美しく雄大なセント・ライラ号であるが、辺りにまったく人影はなく・・・
あちらこちらに無造作に置かれている棺おけだけが、まるで何かを語りかけてくるようだ。


・・・その姿は例えるならば、永遠(とわ)に漂流することを運命づけられた・・・巨大な墓標のようである。




その緊張を破るように・・・闇の貴公子魔王・・・いや、むらさきはそっとやさしく囁きかけた。

アイリスとは留学している時に、共に同じ研究チームに5年ほど一緒にいた訳だが・・・
互いに尊敬し合ってる間柄だと、むらさきは認識していた。。。

もちろん、当時のアイリスの気持ちにも、当然気づいてはいたのだけれども・・・


それから、祖国日本の恩師に封印の研究の件で急遽、呼び戻されることになり、アイリスの目の前から、
逃げ出すような格好で姿を消したのであった。


その帰国した日本で、恩師の一人娘である小紅と会うことになるのだが・・・


一方、アイリスはというと・・・むらさきが去ったあとも、一途にむらさきだけを想いつづけ、いつか再会し、
その胸に飛び込んでいける事だけを信じて、今日までやってきたのだった・・・




このままでは、心臓が爆発してしまうのでは?・・・と思えるほど高まる胸を、必死におさえつつ、
アイリスは一歩一歩、踏みしめるようにゆっくり歩きながら・・・姿を現した。

 アイリス 「・・・あ、会いたかったわ・・・むらさき、ずっとずっと・・・会いたかったの」

 むらさき 「・・・元気そうだね、アイリス

 アイリス 「・・・何もかも、貴方の為よ。。。貴方の為にしたことなの・・・わかってくれるわよね?」

 むらさき 「・・・小紅をどうしたんだ、アイリス

 アイリス 「・・・私、ちゃんとわかっているのよ・・・むらさきが私の為に、封印の生贄として小紅
 用意しててくれたって事もね・・・だから、そうしたのよ。。。

 やはり、貴方が選んだだけのことはあるわ・・・

 小紅の潜在能力は、私の思っていた以上のものだった・・・素晴らしい逸材ね。。。
 見事に、生贄として役に立ってくれたわ・・・」     

 むらさき 「っく、アイリス・・・キミは、なんてことをしたんだ。。。」 

 アイリス 「・・・あら、全ては貴方の為なのよ・・・むらさき


目の前にいるアイリスは、むらさきの知っているあの純粋無垢なアイリスではなかった・・・

いまの彼女は、すでにいくつもの封印を解除し、その能力を自分に取り込んでる間に・・・
自分自身も気づかないうちに違う人格らに憑依されており、己の意志以外のものに操られていたのである。

 アイリス 「・・・それほど気になるのなら、自分の眼で確かめてみたらいいわ、小紅ならそこにいるから」


そう言ってアイリスが指差した方向に現れたのは、ひときわ異彩を放つ漆黒の棺(ひつぎ)であった。 

 


 むらさき 「・・・小紅!」

 アイリス 「・・・ねぇ素敵な棺でしょう?・・・私、最高のものを用意したのよ、新しい門出を祝うものだしね」


漆黒の棺に、静かに横たわっている小紅・・・彼女はすでに息をしていない。。。
ぱっと見た感じだけなら、まるでただ眠っているかの如く・・・呼べばいまにも起きてきそうなのに。。。

むらさきは、すぐにも駆け寄って小紅を抱きしめたい衝動にかられたが、なんとかそれを抑えた・・・

 むらさき 「・・・どうやら、私の知っていたあのアイリスは、もういないようだな。。。」


むらさきは必死に己を制御しようとしていたが、自分の中にいる魔王を制御することは出来なくなっていた。 
みるみると己の形相が変わっていくのを感じる・・・自分を抑えられなくなった時、むらさき魔王になる・・・

そう魔王に取り込まれてしまうのだ・・・!!

 アイリス 「・・・忘れていたわ、貴方も面識あったのよね・・・BARのちょびさんとは。。。
 彼女もその役目をちゃんとまっとうしてくれたのよ・・・

 小紅が承諾したのも、ある意味彼女のおかげよねぇ・・・でも、その方法は聞かないでね。。。うふふ」
 
  


アイリスの足元遥か下、セント・ライラ号の最下層に、いくつもの棺おけと共に・・・
横たわっているちょびママさんの姿があった。

な、なんという事なんだろう・・・無残に討ち捨てられたその姿は、首が異様な角度に折れ曲がり、
胸には刺されたような傷跡・・・そして、辺りには大量に溢れ出してできた血溜まりもある。

 アイリス 「・・・小紅も生贄になってくれた事だし、もう不要になってしまったの・・・それだけの事よ。」

 むらさき 「・・・!」


あまりの事に、むらさきは我を忘れてしまった・・・そう自制心をなくしてしまったのだ。
むらさきの中の魔王が、その一瞬の隙を見逃すこともなく・・・いままで抑えられていた邪悪な力が、
噴火する火山のように・・・マグマのように噴き出してしまったのだ。。。


さっきまで息を潜めるように静かだったのだが、それに呼応するかのように・・・
この黒衣の貴婦人・・・セント・ライラ号はいっきにその秘められた能力を開放するかのように、
爆発的なエネルギーを止め処もなく押し出し始めた。。。

 アイリス 「・・・いよいよなのね。」




これまで封じ込められていた、凄まじいまでのパワーが溢れ出してきて、そのため、この周りの空間さえも
巻き込んで歪んでしまっている。

小紅の生贄、そして、魔王の邪悪な力の解放という2つの条件を満たし・・・封印は解除されたのだ。

この時のアイリスは、これが開けてはならない「パンドラの箱」であったことをまだ知らない・・・  
この封印を施されたセント・ライラ号は・・・我々、人類が踏み込んではいけない領域のものだったのだ。。。

しかし、もうすでに時は遅し・・・パンドラの箱は、開け放たれてしまったのである
神話に残る伝承のように、あらゆる数の禍々しいものたちが一斉に飛び立ってしまったのだ・・・
箱の中に残されたものは・・・「希望」という名の「絶望」だとも知らずに。。。


何も知らず喜びに打ち震えているアイリスであったが・・・
彼女の姿にも変化が訪れていた・・・

開放された封印の力が彼女に降臨してきている・・・


この黒衣の貴婦人セント・ライラ号封印されていたのは・・・
禍々しいものたちを封じ込めていた力の源である。。。




・・・それは、なんと「天使」の能力であった・・・
いつしか、まばゆく光り輝く羽根を有し、アイリスは徐々に、美しい天使の姿になっていったのである・・・

こうして見ている分には、いっさいの邪悪なことなど感じることはなかった。。。
アイリスは己の変貌していく様に、歓喜していた・・・

 アイリス 「・・・みえる?むらさき。。。私やったわ、私やったのよ・・・貴方の為に手に入れたの・・・

 ねぇ、褒めてくれる?・・・これからは私だけをみていてくれるでしょ?」


そう熱く語りかけてくるアイリスに、魔王の返事はなかった、いや、できなかったのだ。。。
その圧倒的なパワーの前に、身動きすらできなかったと言ったほうが正しかった・・・


だが、そのことにより・・・再び、むらさき魔王を封じ込める事が可能となった。
 
 むらさき 「・・・アイリス、キミを止められなかった私を許してくれ・・・」


驚異的な変化をとげていくアイリスを目前にして、むらさきは悲しそうに、そう呟いていた・・・



このやりとりを、遥か上空から眺めていたのは・・・ボルドその人である。

前回同様、彼は、誰にも気づかれないまま、全てをみていた・・・
まるで、さも予定通りに事が運んでいるというように平然としたままにだ。。。

  


これまでの言動から考えてみても・・・彼、ボルドの目的は一切、見えては来ない。。。

しかし、ただ単に「人のいい坊ちゃん」・・・というだけでは済まされない状況だ。
今回、傍観者を決め込むような素振りをしてはいるが・・・どこか油断ならない存在である・・・

この後、彼がこの物語にどのようにして絡んでくるのかはまだわからないが・・・
最後まで、ただ傍観しているという事は決してないであろう。。。



では、次回・・・ついに封印を解除し、天使の能力を手に入れたアイリスと、真っ向から対立する、
魔王むらさきの攻防をお見せすることにしよう。。。


                                                          ・・・つづく。



 ナレーション 「・・・セント・ライラ号封印されていたのは、天使の能力だったのですね~ ^^; 

 しかし、神の御使いである天使の力であれば・・・手に入れても、魔王の力よりよっぽど有益であり、
 人類の為にもなるというものですが・・・それって、使う人の心によるって事ですかね (謎)


 ・・・この期に及んでも、我らが主人公、くれないはいったい何をしているのでしょうか?!
 ぐずぐず、もたもたとしてる間に・・・小紅ちょびママさんが、あんな事になってしまいました。


 これって、お気楽お笑い探偵ものじゃなかったのかーーーー!! !!
 ハァハァ・・・失礼、ちょと興奮してしまいました・・・

 このままの感じですと、どこかの某アニメ監督よろしく、皆殺しの○○・・・作品のように、
 登場人物全員が、悲壮な最期を迎えて・・・THE・END って事にもなるかもしれないなぁ・・・ (謎)


 そんな事にならないように・・・みんなも応援しててね w


 ではでは、また次回、この場所、この作品でお会いしましょう~。。。♪」  ←さらっと逃げるなー!    

Posted by くれない at 19:59Comments(0)魔王編

2008年08月14日

黒衣の貴婦人 -魔王の影-

 ナレーション 「それでは、時間を現在に戻しまして・・・リアルタイムで進行を追っていきましょう。

 今回の舞台は、例の小紅たちが捕らえられていた部屋から始まります・・・


 ひとり椅子に腰掛けて、満足そうに座っているアイリスの姿がそこにありました。
 ざっと周りを見渡してみても、同じこの部屋内には、小紅ちょびママさんの姿は、
 見ることが出来ないようです。

 すでに、どこか別の場所に移動させられたのでしょうか。。。それとも、もしや・・・ (謎)」


見た目にも固そうで、あまり座り心地もよくないと思われる椅子であるが・・・
アイリスは別段、気にすることもなくゆったりを身体を預けていた。

前回から数時間以上が経過していると推測されます・・・

あのあと、ここで何があったのかは、いまの段階で知ることができませんが、
あまり想像したくない事が起きたということだけは、間違いないようです。。。




アイリスは誰に言うでもなく、まるで自分自身に語りかけるかのように、満足気に話していた。
・・・あとは、長年待ち続けた愛しのむらさきがやってくるのを、待つばかりというところであろう。

 アイリス 「・・・小紅、まだ聞こえているかしら。。。もう間もなく私のむらさきがここにくるの・・・

 私だけに会いに来てくれるのよ・・・。」

  
この間、ゴゴゴ・・・っと聞こえていた振動もいまは全くなく・・・とても静かな時間が流れていた。
どうやらすでに、目的地に到着しているのであろう・・・


さて、この奇怪な部屋がどこにあるのかと言うと。。。

ぐぐぐっと、ズームアウトしてみれば・・・それは巨大な帆船であった。
いわゆる海賊船として恐れられていた、セント・ライラ号。。。
またの名を、「黒衣の貴婦人」とも呼ばれていた大航海時代の遺物である・・・




当時、人々を恐怖のどん底に陥れていたこのセント・ライラ号であったが、その最期をみたものはなく、
ある日突然、歴史の表舞台から姿を消したと伝えられている・・・

仲間割れが原因だの、皆殺しにあって焼失しただの言われていたが、その真相も歴史の闇に埋没していた。


では何故ここにそのセント・ライラ号があるのだろうか・・・
それは、この帆船そのものが封印に使われているからである。。。

封印
に使われているもので有名なのは棺(ひつぎ)であるが・・・それに限った事ではないのは、
みなさんもご存知ですね。。。 

例えば、この間・・・くれないが送り込まれた不気味な古城。。。あの要塞教会全部も封印によって、
閉じられた空間の中に存在するのです。


誰が何の目的で、このセント・ライラ号に、いったい何を封印したのだろうか・・・
それを知っているものは、いまはもうアイリスしかいないのであるが。。。

彼女は、手に入れた能力を駆使し、あらゆる可能性を探り、自慢のデータを照合した結果、
その秘密を見事に暴き、いまにも封印を解除して、さらなる己の力にしようと企んでいるのだった。



舞台は変わりまして、ここはむらさきが目指していた聖地の地下深くの空洞・・・
神秘的な空間に、ひとり佇むむらさきの姿がそこにあった。

その透き通った目は、何も見逃すまいという強固な意志の元、辺りを隈なく見据えていた。
超強力な結界が、むらさきの行く手を阻んだが・・・
ようやく、その巧妙に隠されていた封印への入り口を見つけ出すことが出来た・・・




この場所は、いまではむらさきが持つ・・・魔王封印を発掘した現場でもある。。。
あの当時には、これほどまでの結界など感じることもなかったのだが・・・

もし、当時にもこのような結界があったとしたら・・・むらさき率いる研究チームは、
すぐ目の前にある封印を手にすることもなく、全滅していたかもしれない・・・

 むらさき 「・・・これで、行くことが出来る。。。待っていてくれ!」


新たに決意を固めるかのように、ギロリとその場所を睨みつけ・・・
むらさきは一見何もない空間目掛けて、渾身の力を振り絞るように力強く気合一撃、飛び立った。

 むらさき 「・・・ムンッ!! 」 


パリンッ!・・・と空間が割れたような音がしたその刹那、むらさきの身体は吸い込まれるように、
先ほどの地下空洞から姿を消した・・・

 


歪む空間をくぐり抜け、むらさきの目に飛び込んできたのは、黒衣の貴婦人こと、セント・ライラ号であった。

 むらさき 「・・・みつけた!・・・なんと、あれ全体が封印の棺となっているのか・・・」

 
むらさき魔王としての能力は、いまの時点でのアイリスよりはまだ上であるようだ・・・
いっきに空間を結びつけ、目指す目的地にまっすぐ来れた事は賞賛に値するだろう。

だが、こうしてる間にも、小紅の生贄の儀式には、もう手遅れになっているのかもしれないのだ・・・


あの封印が解除され、アイリスのものとなったあとでは・・・たとえ闇の貴公子魔王といえども、
片手でひねり潰されてしまう可能性が大きい・・・それほどまでに、あそこに封印されているものの力は、
超絶なのである。




逸る気持ちの中、フルスピードで目の前にある、セント・ライラ号を目指し飛んでいるのだが、
いまのむらさきにはその速さを出していてさえ、まるでスローモーションのように感じ・・・
とても、もどかしい思いでいっぱいであった。。。

 むらさき 「・・・くっ、すぐそこにあるというのに !?」 


それもそのはず、この黒衣の貴婦人の周りの結界こそアイリスによって取り除かれてはいたが・・・
この空間自体が独自に持つ、歪んだ重圧・・・例えるならば、身体には何Gもの抵抗があり、
常人では普通に歩くことさえ・・・いや立っていることさえもできなかったであろう。。。


幸いにも、セント・ライラ号までは特に何も問題もなく、むらさきが近づくのに他の障害はなかったが、
目に見えている距離感と全く違い、実際にはかなり時間を要してしまった・・・

やっとのことで、辿り着いた時には・・・想像していたとはいえ、かなり力を消耗していたのである。




シーンと静まり返った甲板の上に、ひとり降り立ったむらさき・・・

 むらさき 「・・・いる、ここにいるんだなアイリス、そして、小紅よ」


降り立ってみればいっそう、このセント・ライラ号からとてつもないプレッシャーが、
訪問者むらさきを包み込んでいた・・・そう、彼は招かれざる客なのだ。。。

アイリスとは違い、己の復活を阻止するべくやってきたむらさきは、この黒衣の貴婦人にとって、
排除すべき邪魔者でしかないのだ・・・


それとは裏腹に、虹のイリスこと・・・アイリスはこの再会の瞬間(とき)をいまや遅しと待ちかねていた・・・

 アイリス 「・・・きたわ、あの人が。。。私に会いに来てくれた。

 これからやっと会えるのね・・・

 ぎゅっと抱きしめてくれるかしら・・・

 よくやったな、アイリス。。。と褒めてくれるかしら・・・ 

 私の、私だけのむらさき・・・」




自分自身を愛しく抱きしめるようにしてそう呟き、歓喜に震えるアイリスの瞳はもう潤んでいた。
いまや彼女の気持ちは抑えきれないまでになり、最高潮に達しようとしていた・・・


永年、夢にまで見た、自分の想い人・・・
むらさきがもう、すぐ近くに来ているのを全身で感じとっているので、それも無理はなっただろう。



次回、満を持して・・・むらさきアイリスがこのセント・ライラ号において直接対面する。

一方、小紅ちょびママさんは、どうなったのだろうか・・・

まだ完全には封印が解かれてないようなので、小紅の生贄の儀式が完了しているとは思えない。。。
しかし、アイリスは準備が整ったと言っていたのでそう安直に喜ぶことはできないだろう・・・

もう一人、ちょびママさんの安否も気にかかる・・・彼女はアイリスの手によって、
ひどい拷問を受けたかもしれないのだ。。。


どちらにせよ、それは次回には判明されることであろう・・・もうしばし、お待ちいただきたい。


                                                           ・・・つづく。





 ナレーション 「な、なんですとーーーっ!・・・ちっとも話が進んでないじゃないか~っ !?

 ・・・というお叱りもあろうかと、皆さんを代表して先に言っておきました ^^;
 
 しかしながら・・・つ、ついに。。。むらさきアイリスがもう間もなく会いまみえる瞬間が、
 訪れようとしております・・・

 
 またまた、さらなる真相がわかってくるのではないでしょうか・・・ (謎)
 
 この感じでいくと、どうやら我らが主人公、くれないくんは・・・まことに遺憾でありますが、
 もし、試練に打ち勝って・・・ヴァンパイアの特殊能力を手に入れたとしても~。。。
 実際は、間に合わないのかもしれなくなりました・・・。

 
 けれども・・・皆様の熱い応援があれば、それをも乗り越えてなんとかしてくれる!! ! ・・・かもです w」



 ナレーション 「さてさて、もうひとつ興味深い情報をお知らせしましょう・・・♪

 実は、さっきの帆船・・・黒衣の貴婦人こと、セント・ライラ号のマストの先端部にある見張り台に、  
 とある見知った人物がいたのがわかりましたでしょうか・・・

 先ほどの帆船の全体の写真では、とても小さくて、どこかに人がいるのかなんて・・・
 判別できたものではないですが、ここにその拡大したものをお見せしますね。。。 




そう・・・その人物とは、鳴り物入りで登場したにも関わらず、あまりたいした活躍もしていなかった、
イケメン獣医のボルドくんです。。。

彼は、いったい何者なのでしょうか・・・アイリスの協力者という線は考えられません。
プライドの高い彼女が、他人にものを頼むとも思えませんし、

では逆に、配下の者として扱われるようなボルドくんでもないでしょう・・・


みた感じ、アイリスにも・・・また、むらさきにもその存在を感知させずに、あの場所にいるようですし、
あの空間に存在できていることだけでも、ボルドくんの底知れぬパワーをうかがい知る証明になります。

・・・この件に関しては、どうやら傍観者としての立場をとっているようにも思えますね。。。


ただ間違いなく言えることは、彼もまたおおいに封印に関係しているということでしょう・・・


それでは、今回もこの辺で失礼させてもらいます。。。再見 ^^;」  ←もうネタ尽きてるっぽいな (謎)   

Posted by くれない at 21:05Comments(0)魔王編

2008年08月12日

小紅の秘密 -魔王の影-

 ナレーション 「実は今回も前回同様、さらに時間を遡っての話になります。。。

 くれないが、マリエくんたちに古城へと送り出されるよりかなり前の時刻、小紅は自らの意志で、
 アイリスの手に落ち、拘束を余儀なくされていました・・・

 それは屈辱と言っても過言ではない扱いを受けていたのです・・・
 両手をきつく縛り上げられ吊るされるという、ある種、拷問のような姿が痛々しく目に映ります。」


指定のポイントに現れた小紅を、アイリスは容赦なく拘束し、目隠しをして連れてきたのが、
こちらの部屋でありました・・・

一見、簡素な木造の建築物に思えるこの部屋だが・・・
アイリスの手によってあらゆる種類の結界が張られ、四方100m以内は完全に護られて、
他の世界から完璧に独立した空間となっていた。
 

どうして、アイリスにこのような事が可能なのであろうか・・・
「若き天才科学者だから・・・」。。。という言葉だけでは説明する事などできないであろう。




そう・・・すでにアイリスは、いくつかの封印を解除して、それらを自らの能力とし・・・
使いこなすことに成功していたのである。


ひとつひとつでは、微力なものもあったが・・・組み合わせることにより、かなり強力なパワーをその手に
入れていた事になる。

 小紅 「あなたと話すことは何もないわ・・・」 

 アイリス 「貴女になくても、私にはいろいろあるのよ・・・小紅。」


気丈に答える小紅に、容赦ない言葉をかけるアイリス女史・・・

アイリスには一方的に、小紅に対する私怨とも呼べる想いがあり、それは鬼気迫るものがあった。
冷たく青白い炎のオーラが、アイリスの身体を覆うかの如く、メラメラと静かに燃え盛っていた。




アイリスはこの状況を明らかに楽しんでいる・・・
ついに手に入れた念願の玩具で遊べるかのように、その瞳は好奇心に満ち溢れ興奮していた。

小紅ほどの優れた能力の持ち主であれば、もしかしたら、この状況下においてでも・・・
単独でなら逃げ出すことも可能であったのかもしれない。。。

しかし、それを試みることは、いまの小紅にはできない相談だったのだ・・・


小紅が自ら危険に飛び込んで、救い出したはずの人が・・・まだ目の前にいたからである。
なんとアイリスは約束を反故していたのだ・・・




 ちょび 「・・・ううぅ、ごめんね・・・小紅まで巻き込んでしまって。。。」

 小紅 「・・・気にしないでいいわ、くれないくんといたにも関わらず捕まってしまったのだもの、
 これはちょびさんだけの責任とは言えないわ。」

 ちょび 「それは、そうなんだけど・・・」   ( ←おい、ちったぁ~否定しろよ!>くれない心の声)

 アイリス 「あらあら、麗しき女の友情ってところかしら・・・泣かせるわね~。。。
 でも安心して、小紅がヘタなことをしない限り、ちょびさんの命は保障してあげるから。」


先日、くれないたちの元に帰されたちょびママさんは、実は精巧に造られたアンドロイドであった・・・
アイリスが事前に集めておいたデータに基づいて、思考回路を組み込んだ人造人間なのである。

   


あの謎の球体に閉じ込められている限り、特殊な結界が張られているので、たとえ誰がみようとも・・・
偽者のちょびママさんであると見分けることは不可能なのである。


 アイリス 「この私自ら、貴女に会いに行ったのに、ローズマリーと結託して騙したりしたのだもの、
 これでおあいこよねぇ・・・小紅。」

 小紅 「だったら直接、あたしに対してだけ仕掛けてくればいいのよ」

 アイリス 「でもそれだと、ローズマリーもいるし、なんだかんだで結局遠回りになるだけなのよ・・・
 私は、一番手堅く有効な方法を選択しただけに過ぎないわ。」


悪びれることもなくアイリスはそう言い放った・・・

こういうのを、科学者らしい合理的なやり方と言ってしまえば・・・そうなのかもしれないけど、
やはり人道的な方法であるとは言い難い。

 アイリス 「貴女には、むらさきの事についてもたくさん聞きたい事があるの・・・
 私がむらさきのそばにいないのをいい事に、横から割って入ってきたんだものねぇ~
  
 ぜひ、詳しくお聞かせ頂きたいものだわ。。。」

  
その時であった・・・この部屋、いや、この部屋を含めて周り全体が振動し始めたではないか。
何かが動き出そうとしてる気配が、辺りいったいを包み込んだ・・・     




 アイリス 「あら、もう準備が整ったようね・・・まもなく出発の時間だわ。」

 小紅 「・・・」

 ちょび 「・・・ん?」


まるで独り言のように呟くと、アイリスは大きな椅子に深く腰掛けた・・・
そして、目を閉じ、静かに深呼吸して・・・こう言った。

 アイリス 「あとあまり残された時間がないわ・・・聞きたいことは山ほどあるけれど、
 ひとつ確認しておきたい事があるのよ・・・小紅。」

 小紅 「・・・答える義務はないわ」

 アイリス 「まぁそう言わないで、教えて欲しいわ・・・貴女の一族が先祖代々極秘に伝承してきたという、
 門外不出の封印についてね・・・」
 
 小紅 「・・・ !?」

 アイリス 「私、貴女の事は徹底的に調べたのよ・・・なかなかにガードが固く、情報が掴めないでヤキモキ
 させられたけれど、おかげでとんだ事がわかったわ。。。

 貴女が現在、その封印の正当な継承者なのですってねぇ・・・小紅。」
    
   
アイリスの口から語られた衝撃の事実・・・小紅は昔、封印の研究をしていただけではなく、
自分自身も深く封印と係わり合いのある存在であったのだ・・・!




 小紅 「たとえ、そうだったとしても・・・何も答える気はないわ」


きっぱりとそう言い切る、小紅・・・

 アイリス 「うふふ、そう簡単に話してもらえるなんて思ってなくてよ・・・
 そのために、こうしてちょびさんもいる事だしねぇ~。。。

 せいぜい、強情を張って楽しませてもらいたいものね・・・
 
 私、こうみえても・・・拷問に関してもエキスパートなのよ。。。
 殺さずに痛みだけを与えるやり方に事欠かないわ・・・。」

 ちょび 「・・・ひぃ !?」

 小紅 「・・・っく!」

 アイリス 「オホホ、・・・オホホホホッ!! ! 」


先ほどからの振動もピークに達し、もう部屋ごと周りが、どこかへ動き出したのを感じとれる。

揺れ始めた部屋には、轟音に紛れて、高らかなアイリスの笑い声が響いていた・・・

                                                  
                                                          ・・・つづく。



 ナレーション 「・・・なんという事でしょう~っ (加藤みどりさん風で・・・ ^^; )
 まぁ何かはあると薄々感づいてましたが・・・小紅に、そんな極秘の秘密があっただなんて~ 

 これでローズマリーが隠密として、付き従っていた理由も納得できるというものですね ♪

 でもまさか・・・封印の伝承の正当な後継者だなんて・・・何をどう継承しているのか、
 気になるところでもあります。。。よく聞く、一子相伝というものなのでしょうかね~っ (謎)


 さて、次回からはこれらの時間軸も元に戻り・・・むらさきが聖地へ向った直後から、
 話を進めてみたいと思います・・・

 ・・・あっ、忘れてはいけません~我らが主人公、くれないくんもあれからどうなったかを、
 ちゃんと、お伝えしないといけませんよね~っ。。。

   (たぶん、なんとかなったはずです・・・^^; ←おい!)
  
 
 それでは、また次回・・・新たなる展開がありますように~みなさんもお祈りしてて下さいね w
 
 遥か昔、暗躍してた同人誌時代が蘇る今日この頃・・・あぁ青春よ、もう一度 (謎)」 ←逝ってよし!  

Posted by くれない at 23:36Comments(0)魔王編

2008年08月11日

くれないの試練 -魔王の影-

 ナレーション 「・・・ここで説明せねばなるまい! 
 前回最後のシーン、まさに今むらさきが聖地へ突入しようとしたところで~っ

                                                 ・・・つづく。


 ・・・となった訳だが、実は今回の冒頭は、それより時計を少し戻した時刻から始まるのだ。
 
 つまり、今回の方が前回よりも時間軸的に半日ほど以前の話になるって事ですね・・・ ^^;」
  


よぉ~っ、どうしたことか・・・燃え尽きる前のロウソクの如く、予想外のハイペースで話が進んでる
ようだな・・・ラストを迎えるまで真っ白に燃え尽きちまわないように、みんなも祈っててくれよな (謎)

それじゃ、本編に入ることにしよう・・・
  


いま俺は、痛む右足を薬で騙しながら・・・いかにもって感じの不気味な古城に立っている。
古ぼけた感じは否めないが、かなり高い城壁に囲まれ堅城で、ここからでは地表を伺うことすら
できないほどだ・・・まるで要塞と言った方がしっくりくるのかもしれない。

しかし、ここが現実にある場所なのか、それとも異次元の空間にある場所なのか・・・
さっぱりわからないんだけどもな。。。

次から次へと襲いくる急展開に、なす術もないまま翻弄されてきたのは、皆なもご存知だよな~っ
そこで俺は覚悟を決めて、マリエくんの言う最後の手段に賭けてみる事にしたんだ。

そして、その結果・・・気がつけば・・・この場所にひとり立っていたって訳なんだな。。。




実際よくわからないのだが、ついさっきまではマリエくんが目の前にいたはずなんだよ・・・
これからの事について、どんな方法があるのか、最後の手段とはいったいどういうものなのか、
俺に説明してもらおうとしてたんだが・・・

確かに、彼女の指定してきた場所で待ち合わせて、会ったのは会ったんだけど・・・

そこに現れたのはいつもの見慣れている、見た目がおとなしい感じの助手マリエくんではなく、
情熱の黒きドレスに身を包んだ、これまでには見たことがないような派手ないでたちで、
颯爽とやってきマリエくんの姿だったんだ・・・

 くれない 「・・・マリエくん。。。だよな?」

 マリエ 「いまは、説明してる時間も惜しいねん。」

 くれない 「そ、そか・・・じゃ頼む」

 マリエ 「全ては、くれないさん次第やねんよ・・・それだけは忘れんといてや。」


普段からあまり余計な事を言わないマリエくんだけど・・・
それにしても、今日は、いつになく緊張した面持ちである。




何がどうなっているのかよくわからないまま俺は返事をした。

その時だ・・・マリエくんは突然、フラメンコ(だと思う・・・)を踊り始めたのだ。
カスタネットを叩く音や、ステップを刻む音が段々と力強くなっていくのがわかる・・・
俺は最初、呆気にとられたが、ダンスが激しくなるにつれて、自分の気持ちが高揚していくのがわかった。

すでにマリエくんは半ばトランス状態に入っているようだ・・・
周りの事など目に入らないかのように一心不乱に踊り続けている。

これもひとつの巫女 -シャーマン- の踊りなのだろう・・・という言葉がふいに頭に浮かんだ。
 



気がつくと、俺とマリエくんの周りには新たに2人の美女が忽然と現れており、
彼女たちも熱く熱く・・・情熱的に踊っているではないか・・・

 (・・・あとから聞いた話によると2人も、それぞれ別の封印を護っている一族の末裔で、-共に巫女であり-
 この事態を予測していたマリエくんからの要請を事前に受けて、急遽駆けつけてくれたそうだ・・・

 向って右端が、ミズキさん・・・左端が、ラプさん・・・という方らしい。。。素晴らしい踊りをありがとう ^^;)

3人のステップは一糸乱れることがないまま、力強く、しかし心地よく、ステージに鳴り響いていた。
彼女達の華麗な舞いがいまや最高潮に達しようとしていた、その瞬間・・・俺は目の前が真っ白になり、
気がついた時には・・・例の不気味な古城のテラスにひとり立っていたという訳さ。。。

もちろん、もう3人の姿はどこにもなく・・・俺だけがここへと送られてきたのだという事だけは理解できた。
 

ここに俺の求めるものがあるはずのだ・・・

あのアイリスや、にっくき魔王に対抗できる俺だけの力を手に入れる為に、
俺はここへと誘われ・・・自らの進むべき道を勝ち取らなくてはならない。

俺は慎重かつ大胆に、不気味な古城の奥へ奥へと足を運んでいった・・・
そして、もっとも異彩を放っている・・・妖しい雰囲気の部屋を発見したんだ、

重い扉を押し開けて入ったそこには、なんと、古ぼけた教会を思わす石造りの部屋だった・・・




 くれない 「なんだここは?・・・この怪しげな古城に一番相応しくないところじゃないのか・・・
 祈りを捧げる教会だなんて・・・」

 ・・・ 「何者だ・・・、我の安息を妨げるのは・・・、」


それは、まるで地の底から響いてきたようにも、暗黒の闇から轟いてきたようにも感じる声だった。
その声は、耳から入って聞こえただけではなく、直接五感全部に伝わったと言えばいいのか・・・

次の瞬間、またしても俺は天と地がひっくり返ったような感覚に身体が陥り、意識が飛んだ・・・




たぶん数秒くらいしか経ってなかったのだろうが・・・徐々に意識を取り戻した俺の目の前に、
巨大でとてつもなく禍々しいデザインを施した椅子が出現していた・・・
そこからは、むせ返るような血の匂いが辺り一面に漂って、充満しているような錯覚さえ覚えた。

その眼前の椅子にゆったりと腰掛けている人物が、まっすぐにこちらを見つめていた・・・


俺が彼から受けた第一印象と言えば、「純粋なる悪」・・・というよく意味のわからないイメージであった。

その人物はゆっくりと立ち上がり、こちらを見下ろしながら・・・こう切り出してきた。




 ・・・ 「そなたの目的はなんだ?・・・、我に用があるからこそ、ここへ参ったのであろう・・・、
 そうでない者が偶然迷い込むことができる場所ではない故にな・・・、苦しゅうない・・・、
 言ってみよ・・・、事と次第によっては叶えてやらんでもないぞ・・・、」

 
このいきなりの展開に流石の俺も戸惑った・・・相手が何者なのかもわからない状態で、そう簡単に、
こちらの目的を話していいものかどうか、迷ったからだ・・・

 くれない 「・・・いや、あの・・・その、なんというか・・・」

 ・・・ 「何も遠慮することなどないぞ・・・、そなたが思うままに・・・、そなたの言葉で伝えるがよい・・・、」


正直困った・・・しかし、俺はマリエくんが言っていたあの言葉を思い出したんだ。
・・・全ては、俺次第なのだということを!  

 くれない 「・・・俺は、力が欲しい、何ものにも負けないくらいの強大な力が欲しいんだ!
 それも時間がない、できることなら今すぐにでも・・・教えてくれ、貴方にはそれができるのか !?」

 ・・・ 「くくくっ・・・、強大な力が欲しいのか・・・、我ならばそれくらい容易いご用だな・・・、しかし・・・、
 そなたは我が人間どもに何と呼ばれているのか知っておるのか・・・?」   


・・・全体的にこの状況を見渡して、弾き出される回答はただひとつだった。    

 くれない 「・・・吸血鬼。」

 ・・・ 「そうだ・・・、我こそはアンデッドの王・・・、暗闇の支配者・・・、孤高の存在・・・、
 ヴァンパイアである・・・、中には、小説の影響からか【伯爵】などと呼ぶ輩もいるがな・・・、

 その我が力を与えると言うことが・・・、どういう事を意味するのかは・・・、言わないまでも・・・、
 察しがつくであろうな・・・、」
 
 くれない 「・・・!! 」
 
  


 ・・・ 「そういう原始的な方法を好むものもおるがな・・・、我とて、自分から男の首筋に牙を立てる
 ような行為をしたいとは思わぬよ・・、あれもやり方如何で仲間にするのも殺してしまうも自在で・・・、
 便利な事もあるのだが・・・、まぁ我くらいになれば・・・、他にも幾通りかの・・・、手段もあり・・・、
 相手に触れる事さえ無用であるのだがな・・・、」

 くれない 「えっ!・・・俺いま、声に出してなかった筈なのに!! ! 」

 ・・・ 「そなた程度の思考を読むことなど・・・、我にとっては造作もなきこと・・・、そうであったか・・・、
 封印のいくつかが愚かな人間どもの手により開封されておるようだな・・・、それだけにあらず・・・、
 あの封印も解かれようとしているとみえる・・・、」

 くれない 「・・・俺にはもう選択できる手段がこれしかないんだ、頼む、力を、力を与えてはくれないか!」   

 ・・・ 「くっくっくっ・・・、我も退屈していたところだ・・・、あの封印相手にひと暴れするのであれば・・・、
 それも悪くないであろう・・・、しかしひとつだけ忠告しておいてやろう・・・、我の力をそなたが自身が・・・、
 受け取りきれない場合は・・・、そなたに待っているのは死ぬより苦しい事なのだぞ・・・、」

 くれない 「・・・いや、そ、それは・・・ちょっと考えさせてくれ !?」

 ・・・ 「もう遅いわ・・・。」

 くれない 「・・・うぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!! 」   




最後に見たものは、口元に妖しく笑みを浮かべ、真紅に燃えさかるように輝く相貌の眼(まなこ)だった。

まるで俺は全身を地獄の業火で焼かれているかのように、激しい痛みに襲われていた・・・

しかも、その痛みのせいで意識を失うこともできずに・・・


この痛みが来永劫続くかもしれないという絶望の真っ只中で、俺はひたすら絶叫し続けていた。



遠くの方で、誰かの高笑いする声がこだましているようであった・・・。


                                                    ・・・つづく。




 ナレーション 「・・・おぉ~っ、せっかく最後のチャンスだったというのに・・・もうダメなのか !?
 もはや神はくれないを見放したのか~、いやこの場合は誰に祈ればいいんだっけかな・・・ (謎)

 
 今回ハッキリしたのは、マリエくんが見張ってた(護っていた)封印の正体が、コードネーム:
 【伯爵】と呼ばれている吸血鬼・・・つまり、ヴァンパイアのものだったという事ですね。

 くれないがどうなったのか知りたいなら、次回以降もまた読んでもらうしかないのですが~っ w 


 はてさて、くれないアンデッドの王の力を手にする事ができるのか・・・
 それとも、未来永劫に続く、地獄の業火にその身を投じたまま朽ち果てることなく苦しむのか・・・

 物語は土石流の如く、何もかもを飲み込んで・・・突き進んでいくようです。

 
 それでは次回、またどのような展開が待っているのかわかりませんが・・・今回は、
 この辺でお別れする事に致しましょう~・・・バイなら ^^;」  ←バイなら・・・ってなんじゃーっ!  

Posted by くれない at 08:12Comments(2)魔王編

2008年08月10日

闇の黙示録 -魔王の影-

・・・あの時の私は、これから始まろうとしている恐ろしい出来事について、まだ何も知る由がなかった。

いまから2年以上の前の話になる・・・
はっきりと場所を明かすことはできないが、とある聖地において、幾重にも厳重な封印を施された、
ひとつの棺(ひつぎ)を発掘した我々の研究チームは、その歓喜に包まれていた。
・・・みな興奮を隠し切れないでいたのも無理はなかっただろう。

なぜなら、複雑に暗号化された伝承を根気よく紐解く作業は数年にも及び、行く度も失敗を繰り返し、
何度もくじけそうになりながら、やっとの思いで辿り着いた結果なのだったから・・・




すぐさま慎重に研究室へと運び込まれた棺だったが、その夜にすでに邪悪な変貌をとげようとしていた。
当直であった私はその変化に気づき、夜が明けないうちに誰にも何も言わないまま、件の棺と共に、
その身を隠すように消息を絶った・・・そう小紅にさえも行方を告げずにだ。。。

その封印をされた棺は聖地から動かしてはいけなかったのだ・・・

あの場所から動かすことにより自動的にスイッチが解除されるように予め仕組まれていたのだった!
棺に閉じ込められていた邪悪な魔族は、すでに私の身体を蝕み、私は私であって半分私ではない・・・
という状況に陥ってしまった。
かろうじてまだ少しだけ残っていた意識でなんとか堪え、最後の気力を振り絞り・・・
己自身に封印を施して、誰にも発見されないような深い海の底でひとり眠りについたのだった。。。




あとに残され、置き去りになった形の研究チームのメンバーの事も気にかかったが、何よりも、
小紅に真実を告げれないままになっていた事が一番の心残りではあった。


・・・それから長く苦しい2年の歳月が流れていくわけだが。。。

少しづつではあるが、私は強大な魔族の呪縛を退け、己の精神力でそれをコントロールできるよう
にまでなっていった・・・それでも、かもすると相手に我が意識を支配されて思わぬ行動に出てしまう
という事もなくなった訳ではなかったが・・・

そうして私は時機を見て、闇の貴公子を名乗り・・・魔王として世間にその姿を晒すようになったのだ。


この2年もの間、世界各地において・・・いくつもの封印が発掘され開封されると、思いもよらない
不可解な怪事件が勃発していたりした。
しかし、その程度の事ではまだ序の口に過ぎなかった・・・

我々、人類が絶対に開けてはならないパンドラの箱が、永き封印から放たれ、もうまもなく開封され
ようとしている・・・そう、あのアイリス自身の手によってだ・・・




私が姿を消して以来、再びこの地に足を踏み込み訪れることになるとは、なんとも皮肉なことだ・・・

この地に封印されていた棺は、我々が発掘したあのひとつだけではなかったのだ。
私の手に入れた封印は、さらに凶悪な封印を隠蔽するためのカムフラージュに過ぎず、
違う意味でも二重三重の罠が仕掛けられていたのだった・・・
その事を、もうひとつの封印が作り出すこの強大で凄まじい結界が図らずも物語っているのだ。


おそらく、いまの私の全ての能力を駆使しても・・・到底、太刀打ちできない事は明白である。
・・・しかし、みすみすアイリスの凶行を見過ごす訳にはいかない。
なにより、あの封印を解く為に小紅を生贄とし、それを憑代(よりしろ)に開封するはずなのだから・・・

アイリスのような一途な天才科学者の、ただ真実を知りたいという狂気じみた欲求の前には、
およそ人道的なものなど、あってないに等しい事象なのだ。




私には悠長に構えてる時間などない、こうしてる間にもアイリスの手によって闇の黙示録のページが、
いまや遅しと開け放たれようとしている・・・


心はもう決めた・・・自らが持てるだけの力を全て解き放ち・・・静かに、だが力強く舞い上がろう。
小紅が捕らえられている聖地へ・・・
いや、アイリスが待ち構えている聖地へと・・・漆黒の翼を広げ、その身を滑らせるように飛翔させた。。。

                                                    
    
                                                      ・・・つづく。  

     

 ナレーション 「今回は闇の貴公子魔王こと、むらさきによる一人称というパターンでお送りしました。 
 
 むらさきの口からついに語られた、いままで隠されていた新たなる証言をどう捉えるかで、
 これまでみてきた話の読み方もガラリと180度変わってくる事でしょうし、結果今回の事によって、
 ここから先のストーリーを大きく左右していく、幾つもの大事なポイントが見えてきました。
 てんでバラバラであったピースの欠片がパチっと埋まり、ひとつの大きな流れへと繋がりだしたようです。

 はたして、むらさきは見事小紅を救い出し、アイリスの凶行をブチ破ることができるのでしょうか・・・
 それともアイリス封印を解き、世界は破滅への輪舞曲(ロンド)を踊りだす事になるのだろうか。


 おっと・・・忘れていてはいけません、この物語の主人公くれないが、きっとなんとかしてくれるに違いない
 と思います。。。うん、たぶんなんとかしてくれるんじゃないかなぁ~って ^^;

 それでは、皆様あともう少しだけ辛抱して、おつきあいしてくださいね w」  ←とっくに限界は超えてるわ!




 ※え~と、今回はですね・・・いつもにも増して文章がまとまらず、さらに難解で残念な仕上がりになって
  おります♪・・・折を見まして、チョコチョコとぷち修正していきますんで、ご了承くださいませ。(謎) 

  (これまでにも、こっそりマイナーな修正を繰り返しておりますが・・・読み返してみると、「おい!そこ弄ると
 意味が全く変わってくるだろ!! 」 ・・・ってな発見もあるかもですよ ^^;)  ←それじゃダメじゃん !?   

Posted by くれない at 10:46Comments(0)魔王編

2008年08月08日

アイリスの罠 -魔王の影-

いよ~っ、なんか随分久しぶりの本編だな・・・元気にしてたか、みんな w 
では早速で申し訳ないが、ずっと放置だった本題に入る事にさせてもらうぞ ^^;
 

最近、俺たちの周りで次々に起こる怪事件の数々・・・
これらはどうも背後につながりがあるとみて間違いないだろうな。
それもこれも、あの魔王の野郎が出没するようになってから起きた事件ばかりだしな。
この時期、再度来日したアイリスも、きっとあの野郎に呼び寄せられて来たに決まっている!


実は、俺もアイリスに関しては面識がある・・・今を遡ること2年ほど前になるが。。。

その頃、俺は相棒のチョビ太郎♂とまだ出会ったばかりだったが、すぐに意気投合しコンビを組んで、
表向きは「流し屋」、裏稼業として「闇ガード」って危険な商売を始めて間もない時だったんだ・・・

 (・・・裏稼業っていうのは「口説き屋」だったんじゃないのか?って話はいまは置いといてくれ ^^;)

俺たちは売り出すのに躍起になってたのもあって、かなり危ない橋を渡ったりもしていたんだ。




その当時にだが何らかの研究をしていたむらさき(いまの魔王が突然、消息不明になったと知らせを受け、
弟である俺の元にも幾人もの人が訪れ、「何か聞いてはいないか?」・・・とか聞き込みされたんだ。

(・・・でも俺にしても何年もヤツに会っていなかったし、当然何の連絡も受けてなかった状況だった。)


そのうちの一人がわざわざ北欧から遥々尋ねて来たという若き天才科学書、アイリスだったんだよ。

その時の姿は、まっすぐ純粋なイメージで、今回のように邪悪な感じはまだなかったかな・・・
ただ当時も思い込みは相当激しかったらしく・・・

 アイリス 「私は、むらさきとは特別な絆で結ばれている関係なの。」


と言って、自分にだけは何か伝言があるはずだと引き下がらなかった事や。。。




 アイリスくれないは、私にとっても弟なのだから、遠慮せずに何でも相談して甘えていいのよ。」


という頓珍漢な事を言われ、酷く驚いたこともあったのを覚えているな。

 (あとから知ったのだが、アイリスと俺は同じ年に生まれた同級生であるという事だ・・・) 

・・・でまぁ、そんな昔話はこれくらいにしておくことにして。。。


ついこの間、俺たちが不在の時に、ローズマリーが気転をきかしアイリスを追っ払ったのは、
みんなもまだ記憶に新しいよな・・・

そこで俺たちは、魔王アイリスに対していろいろな対策を練り、それらに対処するべく様々な
計画の下、実行に移していたのだがその最中、不意をつかれ、またしてもちょびママさんが誘拐されて
しまうという大失態を犯してしまったんだ・・・。

情けないことにその時、一緒にその現場にいた俺は、右足首を骨折するというオマケもつけてだ !?
・・・己の不甲斐なさに激しく憤りを感じていたんだが。。。

しかし、事態はそれだけじゃすまなかったんだ・・・


俺が治療を受けている隙を突いて、アイリスから小紅に直接連絡があったらしく・・・

 「ちょびママさんの命を助けたければ一人で指定されたポイントに来るように。」

と言われ、命をかけて引き止めようとするローズマリーにも絶対ついて来ないように固く約束をさせ、
単身、強引にアイリスのところへ向ったという事らしい・・・


事態を重く見た俺たちは、小紅の幼馴染でもある・・・小鳥さんと接触をはかり、小鳥さんの私設SP、
及び、チョビ太郎に警護を頼んで、あえて人目のある夏祭りの会場に来てもらう事にした。




この会場には、事が事なので・・・普段なら封印の場所からほとんど離れる事のない助手の
マリエくんにもローズマリーにガードしてもらい急遽来てもらったんだ。

 マリエ 「そんで小紅ちゃんが向った先は、どっかわからん・・・って訳け」

 くれない 「あぁ、小紅もあの通り・・・こうと決めたら、一筋縄ではいかないとこがあるからな、
 ローズマリーにさえ何も告げずにひとりで出向いたみたいだよ。」

 小鳥小紅ちゃんの事だから、何か考えがあってしたのだと思うけど・・・
 やっぱり心配だわ。。。相手があのアイリス女史なのだもの・・・」

 マリエ 「・・・くれないさん、いざと言う事態になったら、あたしらも最後の手段に出んと
 あかんと思うわ・・・その覚悟はしといてや。」

 くれない 「・・・最後の手段って、どうするつもりなんだマリエくん?」

 マリエ 「・・・いまはまだ言われへんけど、ただその心構えだけはしとって欲しいんよ・・・
 じゃ、あたしはいろいろ準備もあるんでお先に失礼させてもらうわ。」


短くそう言うとマリエくんは、きびすを返して・・・ローズマリーと共に急ぎその場を去っていき、
あっという間に、2つの影は太鼓の響きわたる夏祭り会場から見えなくなってしまった・・・。
       



 小鳥 「いま、わたしの方も秘密機関に命じて、必死に小紅ちゃんの行方を捜させているけど、
 あまりにも情報が乏しくて難航しているの・・・」

 くれない 「そうですか・・・すいません、ご迷惑かけてしまって。。。」

 小鳥 「いいえ、これはわたしの問題でもあるので、どうぞお気になさらないで、  
 くれないさんもお怪我されてるのだから大事にしていて欲しいのだけど・・・
 本当に、小紅ちゃんの事が心配で心配で・・・わたしも、もうどうしていいのか。。。」


その大きな瞳に大粒の涙を浮かべてはいたが、小鳥さんはそれでも健気に泣くまいと頑張っていた・・・

 くれない 「・・・ちくしょう!」


・・・言葉にならない怒りを、吐き捨てる事しかできないこの俺自身がとても歯痒かった。 


そんな時、ローズマリーから緊急連絡があり・・・誘拐されていたちょびさんがどうやらモザイク・グラス
遥か上空に設置されている、スカイの花畑に戻っているようだと報告を受けたんだ。


小鳥さんの警護を再びチョビ太郎♂たちに頼み、痛む足を堪え急ぎ足で俺はモザイク・グラスへと向った。

 


たしかに、ちょびさんはスカイの花畑に帰ってはいた・・・
しかし、謎の球体に閉じ込められており・・・そこから救出することができない状態のまま戻されたんだ!
小紅がその身を挺して、助け出したというのに、なんという事だろうか・・・

すまなそうに謝るちょびママさんだが、俺もその場にいて・・・誘拐を未然に防げなかったのだ。
謝らないといけないのは俺の方である・・・

 ちょび 「あたしの代わりに、小紅が捕まってしまったわ・・・どうしたらいいのか、でも何もできなくて。」

 くれない 「・・・いやこっちこそ、何の役にも立てずに申し訳ない。(・・・小紅よ無事でいてくれ!)」


・・・こんなんでは、とてもまともに帰ってこれたとは言えない。
この状況のままでは、ちょびさんの命運もまだ相手側に掌握されているようなものなのだ!
  



・・・が、しかし、いまの段階でこちらには皆目打つ手がないのだ。
けれども、ぐずぐずしている時間はない!・・・ちょびさんと小紅の命の保障はまだどこにもないのだから!!

まさに一刻の猶予もないこの状況で、さっきマリエくんが言っていたあの言葉がふと頭をよぎった・・・

 「あたしらも最後の手段に出んとあかんと思うわ・・・」

最後の手段とは、いったいどういう事なのか・・・いまの俺にはわからない、でもそうする事でこの事態が
少しでもよくなるのだとしたら・・・俺はそれに賭けてみようと思う。

 くれない 「・・・待っていろ!アイリス・・・そして、魔王よ!! 」

                                      
                                                           ・・・つづく。 



 ナレーション 「はい、今回もこんな感じでお送りしましたが~なんとか怒涛のクライマックスに向けて、
 話が展開できてるようで一安心です ^^;  ←って、ほんまかい!

 さて、ちょびママさんはこの先どうなるのか・・・?

 ・・・小紅の安否はいったい大丈夫なのか?

 果たして、マリエくんの言う最後の手段とは・・・!?

 ・・・どうやら彼女が護っている封印に関係しているという事だけは、わかっているのですが、
 それがどう関わってくるのかというのは次回以降、徐々に明らかになっていくようです。。。 (謎)


 そういえば、あのアイリスもこないだ最後の手段って言ってたんじゃなかったかな・・・?

 う~ん、そうそう使うような言葉でもないと思いますが・・・それも次回以降わかるのかもしれませんね w 
 
 ではでは、でっきるだけ早く次回をご覧いただけるように、せっついておきますので~
 どなた様も楽しみにお待ち下さいね~ ♪」  ←・・・と、とにかく、書いてくれ ^^; 






     P.S.:・・・しかーし、あのノン気な作者はと言えば、すでに「魔王編」のあとに書く予定の~
     【外伝】とか【番外編】の構想を考えて、ニヤニヤしているらしいぞ・・・気をつけろ! (謎)  
  

Posted by くれない at 08:08Comments(0)魔王編