2009年06月30日
魔王の眠り
闇の貴公子・・・むらさきはいろいろと思考をめぐらしていた。
この己自身が本当に求めているのは、いったい、何なのであろうか・・・と。

※ むらさきの魔王としての能力は、3年前に比べて・・・比較にならないほど飛躍的に進化を遂げている。
思えばこうして、・・・あまりひとりになれる時間も、ここ最近はずっとなかったように思う。
研究室に泊り込み、寝る間も惜しんで封印の解析をしたり、
くれないたちをサポートするアイテムを開発したりと、とにかく忙しい毎日であったのだ。
あまりにやることが多すぎて、まったく時間が足りない・・・そう感じ焦っていたのもあった。
肝心の “ 救世主の封印 ” についても、まだ全然詳しい事が判明していないのが現状で、
謎の力に阻まれているのか・・・、遅々として研究が進んでいないのである。
・・・そこに、マダム軍からついに本格的な攻撃が始まってしまったので、
気持ちを変える意味もあって、自らが直接偵察をと・・・鉄 -くろがね- の要塞を離れやってきた訳である。
むらさき 「マダム・マルゴか、マスター・ボルドか、さらには。。。さてさて、誰が真の所有者となるか。」
“ 救世主の封印 ” の力を手に入れて、世界がどう変わっていくのかについては、
むらさき自身も非常に興味がある、むしろ、それをこの手で実現できるのならば、してみたいとさえ・・・?!

※ テーマ別に用意される、むらさき専用のバスタブにはゾラによって真紅のバラが散りばめられていた。
むらさきの強靭な精神力により、闇深く封印され眠りについている “ 魔王 ” の本体!
これが真に目覚めるとき、魔王の・・・いや、むらさき自身に何が起きるのか、
また隠されたむらさきの野望が開放されてしまうのか、それはまだわからない。。。
・・・できうるならば、生涯目覚めることないように願うばかりである。
・・・つづく。
ナレーション 「これまで、あまりスポットを当てられることがなかった “ むらさき ” の心情・・・。
そのむらさきの中に眠る “ 魔王 ” の心 (:本体)はかなりの部分で融合もされており、
このまま、いつしか吸収され消え去ってなくなってしまうのかもしれませんね。
ただ・・・闇の魔王と化す、むらさきの姿も正直見てみたいと思ってしまいますが・・・。
ではでは・・・また、ここでお会い致すことにしましょう。」

※ 紅く染まってく空に突き進んでくむらさきの中の“ 魔王 ”の眠りは、いつしか覚めるのであろうか? (謎)
2009年06月29日
交差する思惑
いつからだろう~、じっとみつめる熱い視線がルタオの上にあった。
それはくれないの実兄であるむらさきこと・・・闇の貴公子、 “ 魔王 ” の妖しい双眸である。

※ いまや完全に “ 魔王 ” の能力を自分のものとしたむらさきの心に映るビジョンとは何であろうか・・・。
これまでの “ 救世主の封印 ” をめぐる熾烈な争いには、
くれないたちのサポート役に回り、あまり表立って行動をみせていないむらさきであるが・・・
己の探究心とでも言えばいいのだろうか、その欲求は他の誰よりも強いはずである。
あのマダムの四天王でもある主任のゾラをも取り込み、
一心不乱に封印の研究に没頭しているかと思えば・・・相変わらずのこの暗躍ぶり。
むらさき 「ふっ、・・・ひとつの側面からだけでは、真実など違ってみえてくるものだな。」
いまはこうして、ことの成り行きを眺めているようだが・・・事と次第に依れば、
どのように出てくるのか、実際はわかったものではないと言えよう。
この魔王、むらさきが真に求めているものは、はたして光なのか闇なのか。。。

※ マダム親衛隊の制服から着替えて、ビンテージもののコスチューム姿で横たわるちょびママさん・・・。
ここは、ボルドの巨大な城塞都市内部にある封印研究施設の一室。
意識があるのかないのか・・・静かに横になり、瞳を開けたままのちょびさんがそこにいた。
チョビ太郎 「・・・くぅ~ん。」
ボルド 「大丈夫ですよ、心配要りません・・・チョビ太郎くん。」
不安げな表情で、やっと会えた主であるちょびママさんを見守るチョビ太郎♂に、
やさしく諭すように声をかける元主治医でもあるマスター・ボルド。
すぐ傍らには、アンドロイドのちょび2号こと・・・ “ 美々 ” と、
くれないのクローン体である “ しゅろ ” の変身した姿、偽くれないの顔もそこにあった。
美々 「どうされるおつもりですか?・・・マスター。」
しゅろ 「・・・ちょびママ。」
ボルド 「麗華によって、ちょびさんにかけられている暗示を解かなくてはなりませんね。」

※ 皆の見守る中、ボルドは手をかざし・・・ちょびさんの深層意識の奥深くへと確実に分け入っていく。
この暗示をかけたのは、あのマダム親衛隊隊長である麗華・・・昔、ボルドの教育係でもあった相手だ。
ちょび 「・・・ううう、うぅ!」
ちょびママ本人でさえ、気づかぬ様に巧みに仕掛けられた複雑な暗示・・・
もし、ほんの少しでも解除方法を間違ってしまえば、ちょびさん自身もただではすまない。
そんな危険を冒してでも暗示を解く必要が、はたしてボルドにあるのだろうか。
~じっと主人を見守るチョビ太郎♂、~憎い仇だと教えられている美々、~そっと想いを寄せるしゅろ。
ちょびさんへの思いは三者三様、それぞれであるが・・・いまはただ黙ってみているしかなかった。
・・・程なくして、難解なパズルを解読する如く、麗華によって施された巧妙な暗示を見事に解いたボルド。
ボルド 「これで、ちょびさんの命にかかわる心配は全て回避されました。」
今回のマスター・ボルドの行動の意味は何を指すのか・・・?
この後、ちょびさんとチョビ太郎♂の安否はどうなってしまうのだろうか・・・。。。

※ それぞれの思惑が複雑に絡み交差する中、渦中のちょびさんはいま安らかな寝息をたて眠ってる。
マダム軍の攻撃もまだまだ始まったばかり・・・今後ますます激しくなっていくだろう。
・・・動き出した歯車は、さらに大きな歯車へとその力を伝えていくことになる。
真の鍵を握る存在という、マスター・ボルドの思惑はいったいどこへ向かってるのであろうか・・・。
・・・つづく。
ナレーション 「・・・ひとまずは、ちょびさんの安全は確保されたようです。
しかし、それは本当の意味での安全なのでしょうか・・・けっして、そうではありません。
くれないたちは、強大なマダム軍と、さらにボルドたちとも向かい合っていかなければならないのです。
・・・では、この続きは、次回のこの時間にお送りいたします。」

※ 途方にくれながらも、鉄 -くろがね- の要塞内にある大浴場でひとり疲れを癒す主人公・・・くれない。
2009年06月23日
悪夢は、何度でも・・・。
ついに・・・この小樽運河において、くれないやちょびさんの前に堂々とその姿をみせたのだ。
・・・はたして、彼の思惑とはいったいどういうものなのだろうか。

※ 在りし日のちょびさん・・・以前のような、元のあのやさしい姿に戻れる日はやってくるのであろうか。。。
くれない、ちょびさん・・・そして、マスター・ボルドの三竦みの状態を遠くから発見したのは、
監視するものの使命を帯びた龍騎士のりんどうと、もう一匹・・・探偵犬チョビ太郎♂のコンビであった。
飼い主というか家族であるちょびママさんの存在を敏感に感じたのであろう・・・
他のSIMでパトロールしていたが、大好きな主の匂いをかぎつけ急いでやってきたのだった。
チョビ太郎 「・・・わん、わんわん!」
くれない 「おぉ、チョビすけ・・・やっぱり来たか w 」
ボルド 「これはこれは、チョビ太郎くん。。。お久しぶりですね。」
いっときであったが、ボルドは獣医時代このチョビ太郎♂の主治医であったことがある。
・・・流石の名犬、チョビ太郎♂も困惑を隠せないでいるのが、くれないにもひしひしと伝わってきた。
ボルド 「ちょびさんのことなら、心配いりませんよ・・・。チョビ太郎くん。。どうかボクを信じてください。」
さっき、くれないに言った同じような台詞をチョビ太郎♂にも優しく投げかけた。

※ りんどうとチョビ太郎♂が駆けつけるも、肝心のちょびママさんはフリーズして固まったままである。
くれない 「なぁ、ボルド・・・なにが、どう問題なく、かつ心配ないのかってちゃんと説明してみろよ!」
ボルド 「ふふふ、そんなせっかちでは嫌われますよ・・・くれないさん。」
りんどう (・・・彼が、噂のマスター・ボルドその人か。。。さすがというか手強いな、読めない相手だ。)
超絶的な能力を有する龍騎士であるりんどうにも、
このボルドの持つ底知れぬパワーは、そう簡単には量りしれないようである。
ボルド 「いまのちょびさんは、麗華によって潜在意識の奥深くで洗脳をかけられている状態なのです。
・・・つまり、無意識の内に暗示にかかっていて、そうと知らずに操られているという訳ですね。」
くれない 「それと、いまの石化のままと、どう関係あるってんだ!」
ボルド 「こうして、動きを封じ込めてないと・・・意に沿わぬ暗殺をあなたに仕掛け続けるということです。
おわかりいただけましたか?・・・くれないさん。」
その短いやりとりの間にも、また新たにふたりが・・・この緊張の走る小樽運河へと駆けつけてきた。

※ りんどうから緊急連絡を受けたローズマリーと、どこから嗅ぎつけたか・・・謎多き青年ゆーいちも来た。
特殊な訓練を受けて育ったローズマリーはこういう時でも冷静沈着で見事なものだ。
・・・しかし、相反するようにこのゆーいちときたら、緊張のせいなのか落ち着きもなく、
はたまたいつものおちゃらけからなのか、身構えるポーズもなんかおかしい (謎)
ボルド 「おやおや・・・、くれない軍団の面々に続々とお越しいただいて、これは恐縮ですね。」
くれない 「さぁ、観念して・・・ちょびさんをこっちへ渡してもらおうか!」
ボルド 「ふふふ・・・ここに小紅さんも加われば、相当やっかいになるのでしょうけど。。。
・・・では、そうなる前にさっさと退散するといたしましょうか。」
くれない 「てめぇ、逃げようって魂胆か・・・そうはさせるか。。。っうぅ!! 」
今度はくれない自身も、金縛りにあったように身体の自由がまったく利かなくなった。
ボルド 「ふふふ・・・それはまた次回にでもね。。。くれないさん。
さぁ、チョビ太郎くんも一緒においで、キミが来てちょびさんをちゃんと守ってあげるといい。」
チョビ太郎 「・・・わん!」

※ 最後まで涼しく微笑みながら・・・マスター・ボルドは時空間を歪ませて、その姿を消してしまった。
その消えるまでの瞬間、その場にいた誰もが身動きすら取れなかった・・・
たしかに、ほんの一瞬の出来事ではあったのだが、くれないを始めローズマリーや、
あの龍騎士であるりんどうでさえもボルドに動きを一切封じられてしまったのだ。
そして、さきほど予告したように、ちょびさんもチョビ太郎♂の姿も当然辺りには見当たらなかった。
マスター・ボルドの手により連れ去られてしまったのである・・・そうまたしても誘拐されてしまったのだ。
くれない 「・・・っくそーっ、目の前にいながらまんまと奪われてしまうなんて!! 」
ローズマリー 「・・・ちょびさま、どうかご無事で。」
それから、しばらくして・・・時間にして数分後かに、
むらさきに用事を頼まれていて遅くなった小紅と1号が駆けつけてきたのだ。
小紅 「・・・そう、またちょびさんが。。。」
1号 「・・・くれない、ねっ、元気だしなよ。」
・・・その場の誰もが、くれないを責めようとはしなかった、だがそれが逆に心に痛いのも事実である。

※ 悲しみだけが残った小樽運河に立つくれない軍団のメンバーたち・・・またさらなる決意を胸に秘めた。
結果として、あのボルドに圧倒的な実力の差を見せつけられるだけで終わった。
・・・またしても悪夢のように、ちょびさんは何度目かの誘拐をされてしまったのである。。。
今回、唯一救いといえるのが・・・愛犬チョビ太郎♂も一緒にという事だが、それもただの気休めに過ぎない。
いったい、いつになればみんなで平和に暮らせる日がくるのだろうか・・・
・・・つづく。
ナレーション 「まぁ、なんという事でしょう・・・またもや、ちょびママさんの本領発揮といえばいいのか、
またまたまたまた・・・、誘拐されちゃいましたね。。。これで本当に何回目なんだろうか?
・・・さて、おかげさまで。。。このブログも無事に1周年を迎えることができました。
それもこれも、全て皆様の応援の賜物でありまして・・・、まことにありがとうございます。
これからも、引き続きよろしくおつきあいくださいませ・・・では、また次回お会いしましょう!」

※ もうすっかり、くれないの扱いに慣れている1号・・・メンタル面のフォローもお手の物だぞ ^^; (謎)
2009年06月19日
対決の小樽運河
ニセコにあるマリエくんのミュージアムをあとにしたくれないは、
どうしても気になる場所があり・・・超マシーン “ 疾風 ” を駆って、続いて立ち寄ることにした。
・・・そう、そこは自分たちの出発点。。。原点でもある思い出の地、懐かしの小樽であった。
※ 愛車、疾風にまたがり・・・観光地とも知られてる小樽運河に出没し、何の思惑だか記念写真を1枚。
勝手知ったるものからか・・・足が自然とあちこちに向かう。
あらかた見て廻った後だろうか、オルゴール堂を背にふと足が止まった・・・
このあたりなど、普通にチョビ太郎♂との散歩コースであったのだ。
・・・そんな、たった数年前がいまはとても遠くに感じる。
くれない 「いったいどこで歯車が狂ってしまったんだろうか・・・。」
しばらく行方不明だった兄、むらさきが魔王として挑んできてから、
本当に目まぐるしいように事態が急変していった。
これまでは知ることもなかったこの世界の謎の遺産 “ 封印 ” を巡る争いに、
否応なしに巻き込まれてしまう破目になるなんて誰が想像できただろうか。
くれないは、走馬灯のように想いをめぐらし、自分たちに起こった様々な不思議な現象を振り返っていた。
※ 複雑な気持ちで考え事をしているくれないの背後から、そっと気配を殺し近づいてくる影があった・・・。
くれない 「ここへの爆撃を阻止してくれたのは、あなたの仕業なのか?・・・ちょびさん。」
ちょび 「・・・まぁね、でもあたしのモザイクは跡形もなくなってしまったわ。」
そこに現れたのは、いまやマダム親衛隊の一員となった・・・ちょびさん、
みんなのモザイク・グラスのオーナーである、あのちょびママさんの激しく変貌した姿であった。
こうして、ふたりが直接対峙するのは・・・実に3年ぶり以上の事になる。
この小樽にあった旧モザイク・グラスの一角で産声を上げた彼らの探偵事務所・・・
初期のメンバーは、くれない、小紅、ローズマリー、チョビ太郎♂・・・そして、それを見守るちょびさん。
それから、まだたいして月日は流れていないのだが、何故だか・・・もうずっと昔のことのように思われる。
くれない 「・・・しばらくぶりだよなぁ、向こうでは元気にしてたのかい?」
ちょび 「えぇ、特に問題なかったわ・・・あなたこそ何も変わってないのね。」
そんな・・・まるで、ただ久しぶりに再会したかのような普通の挨拶が交わされた。
※ あの頃と今も変わらない小樽と、全く変わってしまったこのふたりを運河はただみつめているだけだ。
そのやりとりは・・・現時点では敵と味方に別れて戦っているなんて、全くないかのような素振りであった。
先ほど再会を果たしたオルゴール堂やルタオのあるメルヘン交差点から、
堺町通りを西へ六花亭や北一ガラスを横目にふたりは黙して運河の方へと歩いて移動した。
その服装云々を別に考えれば、単にカップルが小樽を散策しがてら、いつものデートをしてるようにも見える。
・・・しかし、以前とちがって今のふたりは互いに闘い合う敵同士の組織に所属する間柄。
相手がどのタイミングで、いつ襲ってくるかもわからぬままの危険なデートであった。
ちょび 「ねぇ、くれない・・・あなたに恨みはないのだけれど、マダムのために死んでもらえないかな?」
美しい運河を背にして、ちょびさんの口からさりげなく出たのは、そんな空虚な台詞であった。
ちょび 「・・・だって、あなた絶対にこっちの言うこと聞いてくれないでしょ。。。だから仕方ないのよ。」
くれない 「・・・。」
ちょび 「でも安心して、とどめはちゃんと・・・あたし自身でするからね。」
そう言って、ちょびさんが指をパチン!と鳴らした途端に左手のブレスレットが妖しく輝き、
まるでテレポートでもしてきたのか、マダム親衛隊隊員のBeeたちが瞬時に現れ、立ち塞がったのだ!
※ 打って変わってギラギラと殺気をみなぎらせたBeeたちが、いまにもくれないに襲いかかろうと・・・ !?
せめて、この半分の人数であったなら・・・いまのくれないの実力でなんとか対応できたかもしれない。
しかしながら、如何せんこれは人数が多すぎる・・・それに向こうにはちょびさんもいるのだ。
くれない (・・・まずいな。。。これだけの人数とやりあうとなると、ちょびさんを巻き込まないで、
やり過ごすなどできそうにないぜ!・・・いったいどうすればいいんだ。)
ちょび 「心配しないでいいわよ、できるだけ苦しめないで殺してあげるから・・・迷わず成仏してね。」
次の瞬間だった・・・Beeたちが一斉に飛び掛かろうとしたその時、
短い断末魔の声を上げて・・・炎の柱に包まれて次々と消滅していくではないか・・・!! !
Bee 「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~っ !?」
くれない 「・・・なに?」
ちょび 「な、なにが起こったというの?! 」
ふたりがそう思ったのも無理はない・・・
あれほどの数のBeeたちが、すぐ目の前で・・・一瞬で燃え尽きてしまったのだから。。。
・・・ 「マダム軍のこういう方法は、ボクは好きではないですね。」
※ ふたりが声のする方向をみると、そこには、なんとあのボルドがガス灯の上に座っているではないか。
ちょび 「おまえは!。。。・・・いや、あなた様はマスター・ボルド!」
くれない 「なんだと、ボルドといえば。。。たしか、ちょび太の主治医だったあのボルドか?」
ボルド 「お久しぶりですね・・・ちょびさん、くれないさん。」
くれない 「しばらく見ない間に、随分と人が変わったようだな・・・しかも半端ないオーラ出してやがる。」
ちょび 「・・・くれないは知らないでしょうけど、ボルド様は、本当に大変すごいお方なのよ。
たとえば、Reiさんやアイリスを陰で操っていたり・・・あのセント・ライラ号でも暗躍されていたりとかね。」
くれない 「な、なんだと !?」
どうやら、ちょびさんは麗華さまに教育を施されたのか、いくらかは知っている感じであった。。。
・・・そうである、このマスター・ボルドの隠されてきた真の正体といえるべき姿を・・・!!
ボルド 「麗華のやつ、ちょびさんまでこんな事に巻き込んで・・・感心できないな。」
※ ガス灯からすべる様に降りて、ふたりの間を割るように、ゆっくりと歩いて近づくマスター・ボルド。
くれない 「・・・っく、なんだこの威圧感。。。ボルド、てめぇ~いったい何者なんだよ!! 」
ちょび 「ボ、ボルド様は・・・このお方は。。。あの・・・」
なにかを言いかけていたちょびさんであったが・・・
ふと、電源が落ちたように突然固まって、ピタッと動かなくなってしまった。
ボルド 「・・・やれやれ、本当に麗華ったら、まったく感心できないですね。」
くれない 「貴様!・・・ちょびさんに何しやがったんだ !?」
ボルド 「・・・ふふふ、大丈夫です何も問題はありませんよ・・・くれないさん。」
風雲急を告げ、緊張の走る小樽運河には・・・ただボルドの涼しい笑い声だけが響いていた。
・・・つづく。
ナレーション 「ついに、あのマスター・ボルドが堂々と表舞台に躍り出る日がやって参りました。
このあと、この小樽運河にて・・・くれないとボルドのふたりに何が起こるのでしょうか?
そして、・・・フリーズして固まってしまったちょびさんの安否は?
では、この続きをお楽しみにお待ちください・・・次回もまたここで。」
※ その光景をこっそり背後から伺う影があった・・・そう、それは監視するもの、龍騎士のりんどうである。
2009年06月09日
BUZZING Bees
ブツブツと独り言をいいながら、ひとり百面相をくり返す姿は異様でもある。
麗華 「でも、始まったものは今さら仕方ないわ・・・もう後戻りはできないのだから。」

※ バレンシュタインの浮遊要塞内部であろうか・・・不可思議な行動をみせる悩める麗華さまである。
モザイク・グラスまで迎えに来てくれた1号に、無理やり小紅を預け・・・くれないはとある場所に急いだ。
「まだひとりでは危険よ」・・・という、小紅の忠告にも耳を貸さないようにして、
いまだ詳細のわからないマリエくんの元へと向ったのだった。
マリエくんのミュージアムそのものは、まったく無傷の無事であるという連絡は知っている。
しかし、マリエくん自身がどうなったのかは・・・まだわかっていないのだ。
くれない 「あの伯爵がついているのだから、特に問題はないと思うんだが・・・。」
・・・そうは思っている、けれども、・・・この目で確認しておきたかったのだろう。
それから間もなくして、ニセコにあるマリエくんのミュージアムに到着したのだが・・・。
いつもなら、彼女が休憩したり “ 寝落ち ” したりしてる定位置付近に、
まったく別の見知らぬ女性がひっそりと鎮座してるではないか。
・・・不審に思い、用心しながらゆっくりと近づいてみた。

※ 報告のとおり、ミュージアムは何の損傷も受けておらず、流石は “ 伯爵 ” ・・・やはり只者ではない。
くれない 「おい、・・・まだ危険な状況のままだぞ、キミはマリエくんの知り合いなのか?」
しかし、そのくれないの誰何に女性からの返答はなかった。
くれない 「聞こえているはずだろ・・・返事くらいしたらどうなんだ?」
Bee 「・・・くっくっくっ、なんだあたしに言ってたのかい。。。また新手なナンパかと思ってたわ。」
くれない 「・・・何をふざけているんだ、いまはそんな場合じゃないだろ!」
Bee 「ふっ・・・ナンパに失敗しての逆ギレってやつかい 、困った坊やだね~っ ^^; 」
くれない 「・・・何を!」
Bee 「せっかちな男は嫌われるだけだよ・・・はいはい、それじゃ、任務にうつるとするかねぇ~ ♪
・・・全ては、マダム・マルゴのために!! 」
すっくと立ち上がり、不気味に微笑みながら・・・くれないに近づいてくる妖しい女性。
※ そう言い放つと瞬時にしてマダム親衛隊の正式な衣装を身にまとい・・・Beeは戦闘態勢をとったのだ!

※ けれども次の瞬間には、くるりと背中を向けて・・・声高らかに怒鳴ったりなどする始末で。。。 (謎)
Bee 「あはははっ、そういやオマエ吸血鬼だったね~これはたっぷりといたぶってやれるじゃないか!」
くれない 「・・・なんだコイツは、これがマダム親衛隊なのか?・・・どこが選抜エリートなんだよ!」
くれないがそう疑問に思うのも無理はなかった・・・。
マダム・マルゴの正規軍各部署から選りすぐりのエリート女性たちが志願して、
あの麗華さま率いる親衛隊の隊員に抜擢されるのだが・・・
その難関のテストに見事合格したものは、さらに最終試験としてマルゴに真の忠誠を誓い、
己の人格も見た目も等しく改造されるのである・・・そうそれがマダム親衛隊隊員のBeeたちなのだ!!
その結果、手に入れた脅威のパワーと裏腹に・・・情緒不安定に陥ったりする者もいるが、
すべからくマダムのための働き蜂と化し、強靭な意志を持つ戦闘員・・・ “ Bee ” となってしまうのだ。
・・・ 「ブンブンと騒々しく・・・、安らかな刹那の眠りを・・・、妨げるものは・・・、うぬか、そこな女よ・・・!」

※ 声のする方に悠然と立っていたのは、紛れもなく・・・あの闇の帝王、 “ 伯爵 ” その人であった!!
伯爵 「先ほどの爆撃といい・・・、我れはいま機嫌がよくないのだ・・・、如何にアレの手のものであれ・・・、
我が領土内にての・・・、愚かな争いごと・・・、黙って見過ごすわけには・・・、いかぬぞ・・・・。」
くれない 「おぉ~、お師匠さま・・・やはりご無事でしたか w 」
Bee 「うげげ・・・!貴方様は我らが美しき女王である・・・マダム・マルゴ様の。。。っぐ !?」
しかし、Beeが全てを言い終える前に、伯爵の気が凄まじく膨れ上がり、
・・・それ以上は、何も言えなくしてしまったのである。
くれない 「・・・ん?なんだって伯爵とマルゴが何・・・だと言おうとしたんだ?」
伯爵 「戯言である・・・、滅するがよい・・・。」
くれないのそんな言葉などまるで聞こえぬかの様に、伯爵はさらに気を高め・・・力を解放していった。

※ その凄まじさに大地が揺れ・・・何もかもが吹っ飛んでしまうのではないかと錯覚を覚えたくらいである。

※ 為す術もなく、巨大な力に飲み込まれるかの如く・・・Beeの身体は跡形もなく消し飛んだのだった。
Bee 「・・・うぎゃーーーーーーっ!! ! !! ! 」
何の抵抗も一切できぬまま・・・ただ断末魔の叫びを残して、親衛隊隊員Beeは哀れ消滅してしまった。
くれないが感じたBeeの底知れぬ力は、それなりに凄いものであったし、
いまのくれないの軍団のメンバーたちでは、一騎打ちをしたら下手をすると相打ちか玉砕であろう。
くれない 「・・・やっぱり、お師匠さまの潜在能力は。。。計り知れないってことか。」
伯爵 「案ずるな・・・、マリエなら・・・、我れがちゃんと預かっておる・・・、心配などは無用じゃ・・・。」
くれない 「おぉ、ありがとうございます。。。いや~、それが聞ければ問題ありません・・・安心しました。」
伯爵 「うむ、おぬしは・・・、早々に戻り・・・、小紅たちと・・・、次の対策でも・・・、じっくり練るがよい・・・。」
そういう風に、師匠でもある伯爵に促されては・・・さすがのくれないも何も言い返せず、
ふっと現れたとき同様・・・いつの間にか姿が見えなくなっていた伯爵がいた辺りを、
・・・ただただ立ちすくみ、茫然とみつめていたのだった。

※ 「うおおおぉぉぉぐおおおおおぉーーーーーーーっ!! ! 」・・・突然、大声で絶叫する麗華さま。
マダムより預かる大事な部下であるBeeの悲惨な最期を感知したのであろうか。
・・・麗華さまは、誰はばかることなく。。。声を荒げて叫び出したのだ。
麗華 「うぐぐっ、ついに伯爵さまが・・・旦那さまが~マルゴさまと争う姿勢をお見せになられたっ!!
もうだめだわ・・・もう止められない、この麗華の力などでは・・・どうにもならないのよーっ!! ! 」
その半ば雄叫びにも似た麗華さまの叫び声は・・・ただ無情に響いて要塞内にこだましていった。
・・・つづく。
ナレーション 「・・・つまり、 “ Bee ” というのは、ある個体を指すのではなく、
マダムの親衛隊正規隊員、全てを指す呼称であったのですね・・・。
・・・だとすると、いま親衛隊にいるサフランやアイリス・・・また、ちょびママさんもいずれは !?
もしかすると、もう手遅れになっているのかもしれないですけど。。。 (謎)
それでは、どちらさまも・・・また近いうちに、ここでお会い致しましょう。」

※ ほんの少し垣間見えたマダム軍の不気味な力に・・・思わずぞっと背筋が寒くなったくれないである。
2009年06月04日
勃発
くれないたちに由縁のある施設や建物が次々とマダム軍の絨毯爆撃を受けたのである。
なんとか無事に残ったと言えるのは、むらさきの誇る鉄壁の砦・・・ “ 鉄 -くろがね- の要塞 ” と、
あの伯爵が守護する封印の場所とされる・・・マリエくんのミュージアムくらいであった。

※ あえて何も語らないが、小紅の静かな憤りはひしひしと・・・くれないの心にまで響いてくるのであった。
数時間前になるだろうか・・・むらさきにより緊急のスクランブルがかかり、
主だったメンバー全員が集められ、核の攻撃にも耐えうる地下において会議が開かれていた。
その際、普段はモザイク・グラスにいるしゅろにも徴集がかかったのだが、
・・・この火急の事態を見込んでのむらさきの計らいだったのならそれも納得ができる。
のちに判明したのだが・・・今回の空爆を指揮したのは、
マダムの私設軍隊責任者であるというバレンシュタイン大佐で巨大な浮遊要塞の総司令でもある。
・・・的確に要所だけを狙って爆撃を仕掛けてきており、その名に恥じぬ凄腕を証明してみせた。
しかし、これほどまでの攻撃でさえも、マダム軍にとっては単なる警告でしかなかったようで、
一通り爆撃を終えたら、来たとき同様・・・すぐ様かき消すようにいなくなってしまったのである。
そして、なかでも・・・もっとも被害をこうむったのは他ならぬ “ モザイク・グラス ” であった。

※ 文字通り、全く影も残らないように綺麗に消失してしまった “ モザイク・グラス ” 跡地に立つふたり。
当面は危険がないとむらさきが判断して、くれないと小紅は急ぎモザイク・グラスへと向った。
そんなふたりの眼に映ったものは・・・あるべきはずのものが、
・・・跡形もなく消え失せた、ただの更地だけだったのである。
特殊なレーザーでも使ったのだろうか・・・モザイク・グラスのあの建物は綺麗さっぱり無くなっていた・・・
実際に、この新しい “ モザイク・グラス ” にはまだそれほど馴染みはなかったくれないであったが、
やはり特別な意味を持つものの象徴であるに違いはない。
ましてや、小紅にとってはここ数年ずっと過ごしてきた場所であるのだ・・・。
小紅 「・・・あっちにとっては、ほんの手始めってとこなんでしょうね。」
くれない 「まぁ、そんなとこなんだろうな・・・だが、やつらは俺たちの心を踏み躙りやがった。」
小紅 「・・・そうね、わからせてあげないといけなくなったわ。」
そう語る小紅の瞳の奥底には・・・冷たい炎がメラメラと燃えさかっているように思えた。

※ モザイク・グラス跡地に立ち・・・これまで以上に新たな気持ちで決意をする小紅とくれないであった。
・・・まだ戦いの火蓋は切って落とされたばかりなのだ。
そう、これからが “ 救世主の封印 ” を巡る本当の戦いの幕開けになるに違いない・・・。
・・・つづく。
ナレーション 「1ヶ月以上の長い沈黙を破り、やっと再開された本編・・・闇の黙示録編 第三部。
今回は、マダム軍の本気をうかがい知るだけに留まりましたが・・・まだまだほんの序章に過ぎません。
この先、どのようなことが起こっていくのか・・・まったく予断を許しませんが。。。
・・・再びこの時間に、ここでお会いできたことを嬉しく思います。
ではでは、また・・・この続きを是非ともお楽しみにお待ちくださいませ。」

※ ペットの虎型メカを連れて・・・ふたりを迎えにやってきたちょび1号の瞳もどこか哀しく輝いていた。。。