2008年09月22日
覚醒した新たな力 -闇と光の邂逅-
・・・気がつけば、そこは深い深い闇の底であった。
・・・いったい、もうどれくらいの時間が経ったのかわからない。
・・・ただ自分の身体がこれまでとは全くの別のものに、変化を遂げていた事だけは確実である。
果てしなく未来永劫続くと思われた激痛の中、それ故に意識を失うこともできぬままだった深淵の世界から、
ようやく彼は・・・彼は、還ってこれたのだ。。。
くれない 「・・・、・・・うぅ。」
そう、くれないは・・・アンデッドの王の力、闇の帝王:ヴァンパイアとしての能力を身につけて、
ある意味まったく生まれ変わった別の存在として、・・・いま新たに誕生したのである。
くれない 「・・・俺はまだ生きているのか。。。いや、何度も何度も死んだはずだった。
身体中の細胞という細胞が、幾度も入れ替わり別のものとなっていくのを他人事のように感じていた・・・
だが、俺は手に入れた・・・この闇の力を手に入れたんだ!」
まだ意識が朦朧とするなか、軽い眩暈にも似たものを感じながら・・・
くれないは、真紅に染まった噴水の中をよろよろと立ち上がった・・・
この時点ではまだ、本人は気付いてないのだが骨折していた右足はもうすっかり完治している・・・
これもヴァンパイアのアンデッドたる治癒能力のひとつなのであろう。
くれない 「・・・しかし、ここはどこだ?
俺は何のためにここにいる・・・わからない。
・・・どうしてこういう事になったのだったか・・・?」
一時的な記憶障害であろうか、まだ頭の中で記憶が混乱しているようだ・・・
誰に言うでなく・・・訳もわからず、ひとり呟いているくれないであったが。。。
ふと、どこか遠くで・・・自分を呼んでいる声があることに気付いた。
・・・ 「くっくっくっ・・・、戻ってこれたのかくれない・・・、これだからこそ・・・、まこと人間という種族は・・・、
面白いものだな・・・、我はてっきり・・・、駄目だと思っていたのだがな・・・、こうして儀式を終えてくるとは・・・、
ほぅ・・・、何者かによる・・・、別の思惑が介入したと言うことでもあるのか・・・、それもまた一考であるな・・・、」
それは便宜上、コードネーム:伯爵と呼ばれ、自ら望んで封印にいる暗闇の支配者その人の声であった。
(この透き通るような白い肌・・・、紅く燃え上がるようなそのまなこ・・・、そして、牙をのぞかせる紅い唇・・・、
ただ見つめられただけで、大概のものはチャームの魔法にかかり・・・その身をゆだねてしまう事だろう。)
その聞き覚えのある声に耳を傾けていたくれないは、ようやく事態を飲み込めてきた・・・
・・・そう何故に、自分がここにいるのかを。。。
くれない 「はっ!・・・あれからいったいどれくらいの時間が過ぎたのか教えてもらえますか?」
・・・ 「そなたがここで儀式をしていた時間か・・・、人間界で言うなら3年くらい経っておるな・・・、
一生かかっても戻ってこない者もいるのでな・・・、そなたはまぁ優秀であったわ・・・、くっくっく・・・、」
くれない 「・・・さ、3年って!・・・そ、そんな・・・せっかく苦労して手に入れたのに、
もうそんなに時間が経ってたなんて・・・何もかも遅かったのか。。。!?」
全てをかけた行為が失敗したのだとわかり・・・くれないは絶句し、ひどく落胆した。
・・・結局は何もできなかった。
その己の不甲斐なさにうち震えながら、やり場のない怒りにやりきれないでいた。
・・・ 「まったく・・・、これだから人間とは愚かなる生き物だな・・・、」
・・・どこかで誰かが言ってたフレーズである。
偉大な力を持つものから見れば、人間というちっぽけな存在は得てして同じように感じるものであるようだ。
・・・ 「この我の力を・・・、全てまでとはいかぬが・・・、そなたは手に入れることができたのだ・・・、
もはや考える必要などないのだぞ・・・、精神を研ぎ澄まし・・・、ただ感じるだけのよいのだ・・・、」
くれない 「・・・、・・・、・・・・・・っくぅ!! 」
くれない 「・・・ぐおぉぉぉぉぉっ!・・・な、なんじゃこりゃ~っ!!
・・・怒涛の如く、ものすごい量の情報がいっきに流れ込んでくるぅぅぅっ!! ! 」

・・・しばらく茫然と立ち竦み、くれないは己の内に駆け巡ってくる途方もなく膨大な量のデータの処理に、
かかりっきりにならざるを得なかった。。。
ようやく落ち着いたころを見計らって、暗闇の支配者は半ば諭すような口調で語り始めた・・・
・・・ 「そなたがいたのは・・・、この要塞教会の中でも・・・、試練の間と言ってな・・・、
特別な時間軸で時が流れておるのだ・・・、そなたがそこで例え何年・・・、いや何十年過ごそうとも・・・、
人間界においては・・・、数時間程度が経過しているに過ぎない・・・、実際の人間界では・・・、
そなたがこの封印の中へ来て・・・、まだ半日かそこら経ったかどうかでしかないわ・・・、」
くれない 「・・・えっ、それってことは・・・まだ間に合うってことかですか。。。?」
・・・ 「くっくっくっ・・・、それは自分の目で・・・、確かめてくればよかろう・・・、」
いかな能力を手に入れようとも、くれないが持っている本質というものはあまり変わってないようであった。
いかなる強大な能力も・・・、結局はそれを使うもの次第であるという事なのかもしれない。
・・・ 「乗りかかった船だ・・・、という言葉があったな・・・、ついでに・・・、あの封印の近くまで・・・、
空間を繋げてやろう・・・、そこを通れば・・・、いくらそなたであろうとも・・・、迷わず行けるであろう・・・、」
くれない 「・・・何もかも至れり尽くせりで、ありがとうございます!」

・・・完全に、おんぶに抱っこ状態で、くれないは挨拶もそこそこに、
言われるがまま開けられた空間へと、躊躇うことなく飛び込んでいった。
その先には、くれないは知らないことだが、すっかりその姿が変わってしまっている、
目指す黒衣の貴婦人、セント・ライラ号が待っているのだ・・・!!
今まさに、その船上においては魔王こと闇の貴公子、むらさきと・・・
虹のイリスこと・・・堕天使、アイリスの一騎打ちが、行われている真っ最中なのである。
・・・果たして、くれないはまだ間に合う事が出来るのか !?
・・・ 「くっくっくっ・・・、どうやらかの封印は・・・、すでに完全な形で・・・、蘇ってしまっとみえる・・・、
あやつはそこへ・・・、飛び込んでく事になるのだな・・・、この我の退屈な時間をどうやって・・・、
楽しませてくれるか・・・、少しでも・・・、期待できるとよいのだがな・・・、それもこれも・・・、
あやつ次第ということだな・・・、まぁよい・・・、いざとなれば・・・、くっくっくっ・・・、」

・・・何やら不気味な発言を残しつつ、この偉大なる暗闇の支配者はその紅い瞳でじっと、
くれないを送ってやった空間が静かに閉じていくのを、うっすら笑みを浮かべ眺めていた。。。
このような事でさえも・・・~くれないたちにとっては一大事なのだが~・・・彼のような次元の存在には、
ただ単に、退屈な時間を紛らわすゲームでしかないのかもしれない。
・・・つづく。
ナレーション 「・・・そかそか、うんうん。。。完璧に出遅れておりました、我らが主人公・・・くれないくん。
ついに、やっと・・・ここで本編に復帰してこれたようです。。。あぁ、よかったね~ ♪
勇者は遅れてやってくるものと相場は決まってはいますが・・・若干、遅れすぎてるんじゃないかと。。。
(・・・ってか一部、全然間に合ってないんだし ^^;)
・・・何はともあれ、舞台も役者も揃いました。。。
もうこれ以上、風呂敷を広げる必要はありません・・・コマは出揃ったんです。
あとは辻褄が合うように~物語を終結させていくだけなのです。。。 ←身も蓋もないわ!!
では、また次回ここで、ファイナル・フューーージョン!承認!! !!! 」 ←雄叫びが聞こえる (謎)
Posted by くれない at 08:16│Comments(2)
│魔王編
この記事へのコメント
全部で、何回あるんよ~。
Posted by Mariegold Rayna at 2008年09月22日 18:49
・・・内緒って事でお願いしたいんやけど~っ w
この辺りまでの話は、かなり前から決まってた、
予定通りの展開であって、ほぼ想定内の事です。
・・・が、しかーし、こっから先が漠然としたもんしかなく~
どの順番で残りのピースをはめ込んでいくんかは、
書きながらの手作業になる訳ですなぁ (謎)
ってことで・・・D.B.じゃないけど、「もちっとだけ、
続くんじゃよ」。。。って感じっすね ←ごら!
この「魔王編」が無事完結し、次の「闇の黙示録編」へと、
物語が引き継がれていく様を暖かく見届けてくださいね。
信じるか、信じないかは・・・あなた次第です ^^;
この辺りまでの話は、かなり前から決まってた、
予定通りの展開であって、ほぼ想定内の事です。
・・・が、しかーし、こっから先が漠然としたもんしかなく~
どの順番で残りのピースをはめ込んでいくんかは、
書きながらの手作業になる訳ですなぁ (謎)
ってことで・・・D.B.じゃないけど、「もちっとだけ、
続くんじゃよ」。。。って感じっすね ←ごら!
この「魔王編」が無事完結し、次の「闇の黙示録編」へと、
物語が引き継がれていく様を暖かく見届けてくださいね。
信じるか、信じないかは・・・あなた次第です ^^;
Posted by くれない
at 2008年09月23日 06:21

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