2008年11月02日
ちょびママの記憶 「謎の男は・・・・・」
ナレーション 「・・・いまここに、ちょびママさんからくれないへと宛てられたひとつの手記の写しがある。
そこに書かれてたままを、ほぼ原文のままを掲載してあるので、これまで読んでもらっていた文体とは、
まったく別物であるという事がおわかりいただけるであろう。
実際に、書いている著者が違うので、まぁ当然のことなのだが・・・ ^^;
魔王編で起こっていた事象を、別の観点からみてみると、また新しい形がみえてくる事もあるでしょう。
(ちなみに、あの後、すぐに旅立ってしまったくれないに、この手記が届いたのかどうかは定かではない)
・・・それでは、ちょびママさんの想いを。。。じっくりとお読み下さい w 」
くれない君、魔王編ご苦労様でした。
あたしもいろいろあったけどチョビ太郎もいたし、
何とか収まってよかったね・・・
みんなのおかげです・・・・・・。
少し落ち着いたので、思い出したこと、今まで言えなかったこと
書いておこうかと思ってペンをとりました。
慣れてないんで読みにくいのは許してね・・・・・・・
書こうとしてるのは実はくれない君のことじゃなくて
兄のほうのむらさきのことなんだけど・・・・・・
あれは初めて誘拐された妙な洞窟の中だったと思う・・・・・・
目をあけるとあたりは真っ暗で
ろうそくの小さな灯りだけがゆらめいて
あたしは縛られてもいなかったし、怪我もしていなかった
だんだん目が慣れてくると
近くにうなされた男の人が横になっていて・・・・
誰か見たことのない人だったし
黒ずくめの服に背中には黒い羽が生えていた
一目で何かに取り憑かれてるのかなって思うほどの狂気を感じたの
その人はうなされて汗をいっぱいかいてた
あたしがおでこにさわろうとすると
「っやめろ・・・さわるな・・・・」って言って振り払ったけど
何かから逃げるようなあえぐように差し出した両腕は力がなかった
手を握ってあげると一度真っ赤な目を見開いてこっちをにらんだけど
何故か怖いとは思わなかった
すぐに目を閉じたまま意識がここにないようにあたしには感じたな
何かと戦っているような苦しさが見え隠れしていた
あたしは自分が誘拐されているのも知らずに
くれない君のことも小紅のこともすっかり忘れて
その黒ずくめの男の手をにぎり続けていたの
しばらくすると表情が穏やかになって・・・・・・すると
驚いたことに背中の羽も消えてしまって・・・・・
あたしを見たその目はもう血走ってはいなかった
よく見ると誰かに似ている・・・・・・
くれない君?
髪も長いし少しやせているかな背も高そう
「ここはどこなの?あなたは誰?」
それには答えずに握ったままの手を
ぐっと引き寄せられてあたしは・・・・・・
くれないに似た男・・・・・
ここはどこなのだろう・・・・・・
あたしは何をしているのだろう
っそう・・・・小紅は?・・・・・
その唇は氷そのもののように冷たかった
なのにあたしはその人が心の中で熱く泣いているのを感じた
・・・・・・ような気がする
離れられない、孤独のかけらがこちらに流れ込んでくる・・・・・・
どのくらいの時間がたったのか
フイに、ドンと突き放される
「自分の立場がわかってないようだな・・・ちょびママさん・・・」
一瞬見間違いかと思うほどにその姿は
さっきまでの黒い羽のはえた悪魔のような表情の男に
変わってしまっていた・・・・・・・・
「小紅はどこ?」
それには答えずに不適に笑い立ち上がって宙に舞う
悪魔のようなその姿はさっきの孤独な男ではなかった
「おとなしくしていれば何もしない・・・・・・大事な人質だからな・・・・・」
「人質?誘拐されちゃったの?あたし・・・・・」
一度にいろいろ考えても無理なので頭の中を整理してみると
あたしは今朝小紅と一緒に小樽の自分の店にいた・・・・・・
花を買いに出ようとしたら急にめまいがして
あとの記憶はない・・・・・・・ここで目が覚めるまで・・・・・
「小紅はどうしたのよ・・・・・・・」
「心配はいらん、うるさいことは聞くな・・・・・」
「あなたはだれ?」
「っくっくっく・・・・・・俺は・・・闇の貴公子 魔王・・・・・」
「まおう?あたしを誘拐してなんになるのよ」
「知らなくてもいいのさ もう少し寝ていろ・・・・・」
っと手を振り上げたと見るのと同時にあたしはまた気を失った
さっきの唇の感触を思い出す時間さえもなく・・・・・・
あなたは誰なの?ここで何をしているの?
あたしをどうするの?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
暗闇で誰かが呼んでる
?チョビ太郎の声もするみたい・・・・
あたしはここよ
また手をひっぱる人がいる
くれないに似たあなたは誰?
「ちょびさん・・・・しっかりしろ・・・・・」
「ううううわんわん・・・わん・・・」
「あれ?あたし・・・・・・あチョビ太郎・・・・?・?・? くれない 君??」
何がどうなったのかわからないままあたしは助け出された
心配そうなくれない君の顔を見たら何も言えなかった
気持ちがぐらついてドキドキしてたことを悟られたくはない
あの男がくれないと血のつながった兄のむらさきと知ったのは
そのあとだった・・・・・でもなぜ?
人間のむらさきに黒い羽が?
なぜあたしを?・・・・・・・
知らない方がいいことも世の中にはあるのかもしれない
その後なぜか何度も誘拐されるあたし・・・・・
でも最初の誘拐のあの唇が
あたしは・・・・・・・忘れることができない・・・・・
彼が魔王と知っても、そしてまた心を取り戻したと聞いて
彼のそばに小紅とアイリスがいると聞いても
忘れることはできない・・・・・
氷の唇を