2009年03月18日
麗しき伯爵夫人
過ぎ去ってしまった時間には、いくら願っても・・・もう戻れることはありません。
・・・だから “ 過去 ” と言うのでしょうけど。
今回は、そんな過ぎ去ってしまった遠い遠い昔の話をしましょう。
※ どれくらい以前のことなのか、遥か忘却の彼方・・・それはそれは美しい女性が住んでいたのです。
いまよりざっと、数千年ほど歴史を遡ってみることにしましょう。
それはもう西暦が始まっていたのか、
いやはやもっと前の暦が使われていた頃なのでしょうか?
・・・広大なユーラシア大陸のどこかの王国の話なのですが、
ひとりのとても美しい女性が、とある貴族に見初められ、嫁いで行く事になりました。
彼女のことは、周りの国々にも知れ渡るほどの器量よしとして、その名を馳せていました。
そんな彼女を巡っての、血なまぐさい壮絶な争奪戦があったとも言い伝えられています・・・
・・・その彼女の名は、 “ マルゴ ” 是非にと望まれて伯爵夫人となった訳なのですが。。。
実は彼女は、いったいいつからそこに住んでいたのか、
みな誰も知らないという謎めいた存在であったのですが・・・
そんなことさえ、些細なものだと思わせるほどの大変な美貌の持ち主でありました。
※ マルゴが嫁いだのは、若いながらかなりの実力者として将来を有望されていた伯爵家の当主でした。
ふたりは相思相愛で、とても似合いのカップルとして、みなに祝福され結婚しました。
・・・ただ、他の人と大きく違っていることがあったのです。
それは、伯爵がただの人間ではなく・・・闇の帝王、ヴァンパイアであったこと。
伯爵という身分は単なる表の顔に過ぎず、実際には夜の世界の支配者であったわけですね・・・。
それでも、伯爵は花嫁であるマルゴを心から深く愛していましたし、
己が吸血鬼であるという点を除けば、普通の人間以上にふたりの仲はよかったと言えるでしょう。
まぁ、このことは伯爵家でもごく一部のものしか知らない秘められた事柄でしたので、
世間的には幸せな “ 麗しき伯爵夫人 ” として、マルゴの名前は知れ渡っていたに過ぎません。
・・・それ故に結婚当初、伯爵はとても悩んでいました。。。
愛しい彼女を深く想えば想うほど、
自分の真の姿である “ ヴァンパイア ” という正体を明かすべきか否か。
※ 時間が許す限り、仲睦まじく一緒の時を過ごす・・・これまで味わった事がないものがそこにはあった。
もしこの事実を知れば、彼女はここから去ってしまうかもしれない・・・
そう考えるだけで、身も心も切り裂かれるような悲しい気持ちでいっぱいになりました。
しかし、人間とは違う速度で時間が経過する自分は、
いつまでも歳を取ることがなく、いつか相手にわかってしまうのは明白なのだ。
伯爵は、そんなジレンマに陥り・・・時折、物憂げな表情を浮かべるようになっていった。
マルゴ 「ねぇ、あなた・・・もし、まだ打ち明けてない秘密があるのでしたら、どうぞおっしゃって。」
そんな伯爵を見ていて、不審に思った彼女は率直に聞いてみることにした。
マルゴ 「あたくしたちは縁あって結ばれた夫婦なのですから、
・・・何も遠慮などなさらずに、包み隠さずお話になっていただきたいの。」
まっすぐな瞳でそう語りかけてくる美しい新妻に、
伯爵は少しとまどったのだが・・・、勇気を出してこう切り出したのだ。
伯爵 「マルゴ、驚かないで聞いてほしい・・・わたしは実は普通の人間ではないのだ。
闇の住人、人の生き血をすする恐ろしい吸血鬼・・・ヴァンパイアなのだよ!」
※ その時である、マルゴの身に着けていたペンダントが妖しく光り輝き、その周りをオーラが包みこんだ。
マルゴ 「うふふっ、やっとあなたの口から伺えたわ・・・、ひとりで悩んでらっしゃるお姿をみていて、
こちらもずっと心苦しかったのです・・・だってあたくし、その事は嫁ぐ前からわかっていたのですもの。」
伯爵 「・・・なんと、知っていて一緒になったというのか、君は !?」
マルゴ 「だからこそ、あなたのところにお嫁にきた・・・と言っても過言でないものがありましてよ。
あたくしも、実は・・・本当はこの世界の・・・常世の人間ではございませんもの。」
この伯爵ほどの識者であっても、恋の魔力には勝てなかったというのか、
我が妻の正体が・・・人間ではないと見抜けぬほど盲目になっていたようである。
マルゴ 「あたくしの方こそ、あなたにまだ打ち明けてない秘密がありましてよ。」
伯爵 「かまわぬ、淑女と言えども女性なのだ・・・隠し事のひとつやふたつアクセサリーのようなもの。」
マルゴ 「・・・こんなあたくしでも、いままでのように、あなたは愛して下さいますか?」
伯爵 「無論だ・・・マルゴ、わたしはいまここに改めて、君に永遠の愛を誓おう。」
マルゴ 「・・・嬉しいわ。」
その結果、ふたりは本当の意味で・・・心から夫婦になれたと言えるかもしれない。
・・・この時は、これからも幸せな日々が、
いつまでもいつまでも変わることなく永久に続くと思われた。
・・・つづく。
※ 妖艶で絶世の美女マルゴの正体とはいったい何だと言うのか、そして、伯爵とはこの先何が・・・(謎)
・・・だから “ 過去 ” と言うのでしょうけど。
今回は、そんな過ぎ去ってしまった遠い遠い昔の話をしましょう。

※ どれくらい以前のことなのか、遥か忘却の彼方・・・それはそれは美しい女性が住んでいたのです。
いまよりざっと、数千年ほど歴史を遡ってみることにしましょう。
それはもう西暦が始まっていたのか、
いやはやもっと前の暦が使われていた頃なのでしょうか?
・・・広大なユーラシア大陸のどこかの王国の話なのですが、
ひとりのとても美しい女性が、とある貴族に見初められ、嫁いで行く事になりました。
彼女のことは、周りの国々にも知れ渡るほどの器量よしとして、その名を馳せていました。
そんな彼女を巡っての、血なまぐさい壮絶な争奪戦があったとも言い伝えられています・・・
・・・その彼女の名は、 “ マルゴ ” 是非にと望まれて伯爵夫人となった訳なのですが。。。
実は彼女は、いったいいつからそこに住んでいたのか、
みな誰も知らないという謎めいた存在であったのですが・・・
そんなことさえ、些細なものだと思わせるほどの大変な美貌の持ち主でありました。

※ マルゴが嫁いだのは、若いながらかなりの実力者として将来を有望されていた伯爵家の当主でした。
ふたりは相思相愛で、とても似合いのカップルとして、みなに祝福され結婚しました。
・・・ただ、他の人と大きく違っていることがあったのです。
それは、伯爵がただの人間ではなく・・・闇の帝王、ヴァンパイアであったこと。
伯爵という身分は単なる表の顔に過ぎず、実際には夜の世界の支配者であったわけですね・・・。
それでも、伯爵は花嫁であるマルゴを心から深く愛していましたし、
己が吸血鬼であるという点を除けば、普通の人間以上にふたりの仲はよかったと言えるでしょう。
まぁ、このことは伯爵家でもごく一部のものしか知らない秘められた事柄でしたので、
世間的には幸せな “ 麗しき伯爵夫人 ” として、マルゴの名前は知れ渡っていたに過ぎません。
・・・それ故に結婚当初、伯爵はとても悩んでいました。。。
愛しい彼女を深く想えば想うほど、
自分の真の姿である “ ヴァンパイア ” という正体を明かすべきか否か。

※ 時間が許す限り、仲睦まじく一緒の時を過ごす・・・これまで味わった事がないものがそこにはあった。
もしこの事実を知れば、彼女はここから去ってしまうかもしれない・・・
そう考えるだけで、身も心も切り裂かれるような悲しい気持ちでいっぱいになりました。
しかし、人間とは違う速度で時間が経過する自分は、
いつまでも歳を取ることがなく、いつか相手にわかってしまうのは明白なのだ。
伯爵は、そんなジレンマに陥り・・・時折、物憂げな表情を浮かべるようになっていった。
マルゴ 「ねぇ、あなた・・・もし、まだ打ち明けてない秘密があるのでしたら、どうぞおっしゃって。」
そんな伯爵を見ていて、不審に思った彼女は率直に聞いてみることにした。
マルゴ 「あたくしたちは縁あって結ばれた夫婦なのですから、
・・・何も遠慮などなさらずに、包み隠さずお話になっていただきたいの。」
まっすぐな瞳でそう語りかけてくる美しい新妻に、
伯爵は少しとまどったのだが・・・、勇気を出してこう切り出したのだ。
伯爵 「マルゴ、驚かないで聞いてほしい・・・わたしは実は普通の人間ではないのだ。
闇の住人、人の生き血をすする恐ろしい吸血鬼・・・ヴァンパイアなのだよ!」

※ その時である、マルゴの身に着けていたペンダントが妖しく光り輝き、その周りをオーラが包みこんだ。
マルゴ 「うふふっ、やっとあなたの口から伺えたわ・・・、ひとりで悩んでらっしゃるお姿をみていて、
こちらもずっと心苦しかったのです・・・だってあたくし、その事は嫁ぐ前からわかっていたのですもの。」
伯爵 「・・・なんと、知っていて一緒になったというのか、君は !?」
マルゴ 「だからこそ、あなたのところにお嫁にきた・・・と言っても過言でないものがありましてよ。
あたくしも、実は・・・本当はこの世界の・・・常世の人間ではございませんもの。」
この伯爵ほどの識者であっても、恋の魔力には勝てなかったというのか、
我が妻の正体が・・・人間ではないと見抜けぬほど盲目になっていたようである。
マルゴ 「あたくしの方こそ、あなたにまだ打ち明けてない秘密がありましてよ。」
伯爵 「かまわぬ、淑女と言えども女性なのだ・・・隠し事のひとつやふたつアクセサリーのようなもの。」
マルゴ 「・・・こんなあたくしでも、いままでのように、あなたは愛して下さいますか?」
伯爵 「無論だ・・・マルゴ、わたしはいまここに改めて、君に永遠の愛を誓おう。」
マルゴ 「・・・嬉しいわ。」
その結果、ふたりは本当の意味で・・・心から夫婦になれたと言えるかもしれない。
・・・この時は、これからも幸せな日々が、
いつまでもいつまでも変わることなく永久に続くと思われた。
・・・つづく。

※ 妖艶で絶世の美女マルゴの正体とはいったい何だと言うのか、そして、伯爵とはこの先何が・・・(謎)